「意外性」というのは
音楽にとって重要な題材。
このテーマに着目した楽曲理解について見ていきます。
聴衆にとって、
いきなり大きな音が出て驚かされるのが意外性なのでしょうか。
いきなりギョッとする和声を使われて驚かされるのが意外性なのでしょうか。
これらも場合によっては意外性につながるかもしれませんが、
もう少し広い視野で考えてみましょう。
以下の譜例を見てください。
プロコフィエフ「子供の音楽-12のやさしい小品 物語 Op.65-3」
譜例(PD作品、Sibeliusで作成、15-21小節)
20小節目の丸印をつけたF音が出てきたときに
意外性を感じます。
なぜかというと、
そこまでの数小節間、常にE音が鳴りっぱなしで
とうぜん、E音が鳴ると思っているところでF音が鳴るから。
F音を聴いた瞬間、楽曲を初めて耳にした聴衆は
「間違えて、隣か何かの音を弾いちゃったのかな」
などと思うはず。
しかし、
続きを聴くとすぐに
確信犯のサプライズだったことが分かるように
作られているわけですね。
(再掲)
ここで作曲家は何をやっているのかというと、
聴衆に「とうぜん、次はこうくるだろう」と思わせるように
楽曲を進行させておいて
それを適切なタイミングで裏切っているわけです。
「あえて、次を予測できるように思い込ませること」
というのがうまく設計されていると
このような意外性の仕掛けも成功する。
タイトルが「子供の音楽」だからなのか
子供が練習していて音を外してしまったような光景が頭に浮かび
聴く度に温かい気持ちになる場面です。
プロコフィエフは
他の作品でもときどき
楽曲の中へ意外性やユーモアをもち込んでおり、
このような視点で探りながら弾いたり聴いたりすると
作曲家のカラーごと作品を楽しめるようになるでしょう。
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