作曲家は
ピアノという楽器を使って
どのような音色をつくるのかについて
あらゆる工夫をしてきました。
その中から
今回取り上げたいのが、
「下から2声目が抜かれている3オクターヴユニゾンの書法による音色」
についてです。
以下の譜例におけるマーカーで示した部分を見てください。
ブラームス「4つのバラード 第1番 エドワード Op.10-1 ニ短調」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
右手パートではオクターヴユニゾンでメロディが演奏されますが
それと同時に
左手パートにも
メロディが埋め込まれています。
ここで注目すべきなのが、
左手パートのメロディと
右手パートの下のメロディのあいだに
もう1オクターヴぶんのメロディの音域があるのにも関わらず
それは省略されていることです。
黄緑マーカーと水色マーカーが2オクターヴ離れているということ。
つまりここでのメロディは、
単なる3オクターヴユニゾンではなく
下から2声目が抜かれている3オクターヴユニゾン。
(再掲)
この書法による独特の音色を覚えておくべきです。
もちろん、楽曲によって
◉ どのオクターヴがどれくらい強調されるのか(オクターヴ同士のバランス)
などによっても
聴こえ方は変わります。
前者は、作曲家が決めることであり
後者は、作曲家と演奏者が決めることですね。
本記事で取り上げたような内容を
学んだり考えたりすることで
楽曲理解を深めると同時に
作曲やピアノアレンジをする際の引き出しも
増やしていきましょう。
(再掲)
ちなみに、
譜例の点線で示した部分は2オクターヴユニゾン。
前後と比べて音色がどのように変化するのか
弾き比べ聴き比べしてみてください。
あわせて、
という記事を参考に
◉ “声部が抜かれていない” 3オクターヴユニゾンの音色
について整理して把握しておくと
さらに音色に関する引き出しが増えて、耳が開きます。
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