【ピアノ】運指の違いによる跳躍回数の違いに目を向ける

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急速なテンポを求められている場合には
跳躍というのは
テクニック的に問題が起きやすいので
それが少ない運指を使うほうがいいでしょう。

 

具体例を見てみましょう。

楽曲が変わっても考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第8番 K.310 第3楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、37-40小節)

左手パートを見てください。

音符の下側へ書き込んだのが

ヘンレ版をはじめ、多くの版で採用されている運指です。

しかし、この運指では

各小節の1拍目ウラへ移るときと、小節をまたぐときとで

ポジション変化を伴う跳躍を2回もしないといけません。

 

一方、

音符の上側へ書き込んだ運指を使うと

跳躍をしなければいけないのは

小節をまたぐときのみになるので、

2回跳躍をしないといけない運指を使った場合に比べると

「弾きやすさ」という意味では

圧倒的にやりやすいものとなります。

 

特に、

この楽章のように急速なテンポを求められている場合には

跳躍というのは

テクニック的に問題が起きやすいので

それが少ない運指を使うほうがいいでしょう。

 

(再掲)

ではなぜ、

多くの版では下側の運指を採用しているのでしょうか。

おそらく、アーティキュレーションの面を考慮しているからだと考えられます。

 

ここでの左手パートに

モーツァルトはアーティキュレーションを書き込んでいませんが

各小節の4つの8分音符を「1+3」のようにとることができ、

下側の運指を使うと

勝手にそのアーティキュレーションが出てきてくれる。

 

「1+3」の1というのはバス音、

3というのは

曲頭からの左手パートのリズムからきています。

 

一方、上側の運指を使っても

アーティキュレーションを表現することはできるので、

跳躍の回数から考えても

こちらの運指を使うほうがいいでしょう。

 

本記事でいちばん言いたいのは、

「運指の違いによる跳躍回数の違いに目を向けるべき」

ということ。

書かれている運指を鵜呑みにして使っていると

よりよい案に気が付かないこともあります。

弾きにくいと感じる部分があったら

必ず、運指の検討余地がないかを考えてみるようにしましょう。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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