【ピアノ】「休符に隠された半音階」とはどういうことか

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「モーツァルト ピアノ・ソナタ演奏と解釈」 著 : 山崎 孝 / 音楽之友社
という書籍の中に
「休符に隠された半音階」という内容が書かれています。
これは、演奏をするうえでも創作をするうえでも
非常に重要な考え方になってくるので、
補足して解説しておきましょう。

 

以下の譜例を見てください。

 

モーツァルト「ピアノソナタ ト長調 K.283 第3楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、168-173小節)

小音符で示した音符群は

実際の楽曲には書かれていません。

上記の書籍の中で

以下の抜粋文章と共に補筆されているものとなります。

(以下、抜粋)
休符にも隠された半音階がある。
この隠された音型を想像することは、
休符を生きたもの、無音の音楽を表す。

(抜粋終わり)

 

(再掲)

小音符は実際にはないわけですよね。

しかし、

半音階という特徴的なパッセージを2小節聴かされた後に

パッと無音になると

直後は我々の心の中に半音階のサウンドが残っていて

無音のときにも錯覚として半音階を聴いてしまう、

ということなんです。

 

人によって

どういった音域のどういった音程の半音階を想像するかは

異なるでしょう。

しかしいずれにしても

「実際に聴こえていないものを想像で聴いてしまう」

という錯覚は

演奏者や聴衆の想像力を豊かにするので、

休符を、意味のある「間(ま)」にしてくれるというわけです。

 

【補足】
シェーンベルクは
「6つの小品 op.19」というピアノ曲の終曲の中で
上記の錯覚を利用して、
「背景を消した後にメロディを単音で鳴らし、
そのメロディと、聴衆の心の中に残っている想像上の背景とを混ぜ合わせる」
という試みをおこなっています。
興味のある方は聴いてみてください。
参考記事:【ピアノ】シェーンベルク入門 & 無調音楽入門

 

 

◉ モーツァルト ピアノ・ソナタ演奏と解釈 著 : 山崎 孝 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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