新しい作品の譜読みを始めたとき、
「速く細かくて、なおかつ、臨時記号がたくさんついたパッセージ」
に出くわすことは多いはずです。
近現代の作品ではもちろん、
ロマン派以前の作品でも
このような “黒い” パッセージってつきもの。
例えば、以下のような例。
ショパン「エチュード Op.25-7」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、22-23小節)
24-25小節にも同型の繰り返しが出てきますが、
そちらでは “すべての音” に臨時記号がついているので
もっと真っ黒です。
こういった臨時記号てんこ盛りの速いパッセージは
たいてい
単純な音階になっているわけではないので、
ただただゆっくりさらっていても
弾けるようにはなりません。
ここで取り入れるべき練習方法は、
「区切れる単位を見つけて、その単位で速く弾けるようにしてからつなぎ合わせる」
というやり方。
この譜例のパッセージでは
「8分音符の長さの単位」で区切れることが分かります。
連桁(れんこう)もそのように分断されていますね。
そこで、以下のような練習内容をつくることができます。
(譜例:練習方法)
譜例のように、
次の拍の頭の音まで弾いたら、
そこで8分音符ぶんストップして
それを繰り返していきます。
言ってみれば
「拍頭止め」です。
必ず、「実際の演奏で使うことになる指遣い」で練習してください。
これをやってみるとわかりますが、
少々複雑なパッセージでも
短い単位であれば
速く弾くのもそれほどたいへんではないのです。
長い単位で出てくるから
つまづいたりしてしまう。
この練習を通して
短い単位でピカピカにしてからつなぎあわせれば
何の問題もなく弾けるようになります。
また、
この練習を繰り返すことで
ストップする拍頭の音を覚えてしまうほどさらうと
暗譜の対策になりますし、
頭の中で拍が整理されるので
音楽的な理解も深まります。
ただ単に弾き込みの際に使える練習方法というだけでなく、
今回取り上げたように
譜読みの際にも有効に取り入れられる練習方法というわけです。
単なるリズム変奏とは一線を画す練習方法であることを
ぜひ体感してください。
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