ベートーヴェン「ピアノソナタ第14番 月光 第1楽章」の最初に
「ダンパーを外して」
と書かれています。
これは、
「ダンパーペダルを使用して」という意味。
「?マーク」がついた方は
ピアノの構造について勉強が必要です。
「ダンパーペダル」で初めて
「ダンパー」という用語を知った方は、
この用語を、
音を伸ばすためのものだと思い込んでいる方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
実際は逆で、
ダンパーとは「弦の響きを止める装置」のことです。
dampの意味が「弱める」なので
言葉の意味を考えればわかりますよね。
(写真:自身で用意した写真です。無断転載はしないでください。)
ピアノでは
音域によって弦の本数が異なりますが、
この写真の箇所は
一つの鍵盤に対して3本の弦が張ってあります。
黒いものがダンパーです。
弦3本に対して、ダンパーひとつが対応していますね。
打鍵していない状態、
つまり鍵盤が上がっているとき、
各鍵盤に対応する弦は
各鍵盤に対応するダンパーとくっついています。
(写真は、くっついている状態。)
打鍵すると
その鍵盤に対応する弦から対応するダンパーが離れるので
響きを止めるものがなくなって音が響きます。
その鍵盤を上げると
また弦にダンパーがくっつくので
鳴っていた響きが止まるのです。
今解説したのは、「鍵盤単位」での話です。
一方、
ダンパーペダルを踏むと
鍵盤単位ではなく
すべての鍵盤に対応するすべてのダンパーが
いっせいに弦から離れるように設計されています。
ですから、
どの鍵盤を弾いても音が響き続けるのです。
もうお分かりですね。
「ダンパーを外して」
という指示の意図する内容は
「弦からダンパーを離して欲しい」
ということなのですから、
「ダンパーペダルを使用して」
という意味になります。
今回取り上げたダンパーのこと以外にも、
ピアノの構造を知っていると
演奏に活かせることは山ほどあります。
「美しい作品」「格好いい作品」だけでなく、
ぜひ、「楽器そのもの」にも興味をもってください。
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