ピアノアレンジをする際、
たとえ現在のアレンジテクニックのままでも、
より音楽的な譜面を作成する方法があります。
その一つが、反復記号の使用を最小限に抑えること。
一般的に、
反復小節線などの「図形反復記号」や
D.C. D.S. などの「文字反復記号」がよく使われますが、
これらを極力使わないことで
楽譜の音楽性を高めることができます。
なぜなら、
音楽は時間とともに進行し
エネルギーが変化していく生き物のようなものだから。
たとえ同じフレーズの繰り返しであっても、
微妙な変化や発展があるはず。
「カッコなどで飛ばして戻す」
という発想はどうかと思うんです。
演奏者の判断で
繰り返しでは表現を変えたりと
工夫を凝らしているケースはありますが、
それはある意味で、即興的なもの。
筆者自身、作曲や編曲をする際に
反復記号をまったく使わないわけではありません。
例えば、以下のような場合には使用することがあります。
◉ 掲載楽譜集のページ数に制約がある依頼制作
これら以外の場合は
極力使わないように心がけています。
興味深いことに、
ショパンの作品では
元々手書き譜で反復記号を使用していたものが
出版楽譜では反復部分がすべて横につながった楽譜として
書き直されている例があります。
このような方法で書かれた楽譜は、
リピート指示で通り過ぎたところへ戻るよりも
はるかに音楽的な印象を与えます。
アレンジ依頼の場合は
リピート指示で前へとばして
ページ数のコンパクトさ等を優先するべきときもあります。
しかし、
自由にアレンジでしている場合は
単に弾きやすいだけでなく
エネルギーの変化が感じられるアレンジを追求してみましょう。
オーソドックスなやり方としては、以下のようなもの。
◉ メロディラインに装飾を加える
◉ 音型やリズムパターンに変化をつける
◉ ダイナミクス(強弱)に変化をつける
これらの工夫により、
同じフレーズでも異なる表情を持たせることができます。
譜面作成を面倒くさがらず、
むしろ楽しむ姿勢が大切。
自分で演奏する場合はもちろん、
ていねいに作り込んだ譜面は
他の演奏者にとっても
音楽をより深く理解し表現するための助けとなります。
このようなアプローチで、
視覚的に時間を戻すような譜面ではなく、
音楽のエネルギーの流れを尊重した創作を心がけましょう。
そうすることで
より音楽的で表現力豊かな楽譜が生まれるはずです。
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