本記事の内容を理解していただくためには
ちょっとした前提知識が必要なので
まずは、その噛みくだいた解説からします。
「定位(パン)」という言葉があります。
これはごく平たくいうと、
「空間のどの位置から音が聴こえてくるのか」
ということ。
例えば、
オーケストラなどを聴いていて
オケ中ピアノが客席から見て左側に位置している場合は、
「ピアノの定位は左側に寄っている」
というわけです。
耳で聴いたものが、実際にそう聴こえるので。
「ダイナミクス」「音色」「それらにまつわる遠近感」
などを駆使して
演奏会場というハコの中に
いかに定位のバランス良く音楽的におさめるか
ということを
指揮者も含む演奏家が追求していくわけです。
もうひとつ覚えておいていただきたいことは、
「低域は定位があいまいになる」
という音響学的な事実についてです。
実際に低音や超低音を聴いてみるとわかるのですが、
楽器などの発音体が左に振られていても
その音は左から聴こえてくるというより
「どこから聴こえてきているのかわからない」
という感覚でうけとることになります。
ここまでを踏まえたうえで、ピアノの話題へ移ります。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、曲頭)
ここでは、
「低域は定位があいまいになる」
という音の特性をイメージに結びつけてみるのは
ひとつの方法。
つまり、
この最初のうねりを
「どこから音が聴こえてくるのかわからないイメージ」
をもって演奏するということ。
そのように考えると
少なくともこの作品においては
楽曲自体のストーリーともマッチしますね。
今回の定位の話以外にも
音には特性があります。
例えば、ピアノの高音における減衰の速さとか。
そういったことに着目して
「音の特性をイメージに結びつける」
ということを考えてみる。
そうすることで、
やみくもにさらっているだけでは気がつかない着想に
たどり着くことができるでしょう。
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