【ピアノ】なぜ、打鍵の仕方が大事なのか

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音楽表現にとって
打鍵(アタック)と離鍵(リリース)は
どちらも重要ですが、
今回は打鍵のほうについて
なぜ、打鍵の仕方が大事なのかを考えてみましょう。

 

一般的に、

叩くと音が散らばって美しく響きませんし、

おそるおそる打鍵して

うわべだけのかすったような音を出しても

聴き手には何も届きません。

 

ここで知っておいてほしいのが、

以下の事実です。

とある実験で、
ピアノの音を録音して
発音開始部分を切り取り
その後の音が伸びている部分だけを
目隠ししている人物に聴かせた。
結果、
多くの人物が
何の楽器の音なのかを言い当てることができなかった。

 

ここで提示しているのは

ざっくりとした実験内容でしかありませんが、

楽器の中では世間的にいちばん知られているであろうピアノの音ですら

このような結果になるということには驚きますね。

つまり人間は

音の発音部分で判断している要素がかなり大きいということ。

打鍵の仕方が大事な理由は

ここにあると言えるでしょう。

 

だからこそオーケストレーションでは、

ある楽器がメロディを弾くときに

メロディの入りの音にだけ別の楽器を重ねることで

音色を作ることがあります。

 

また、レコーディングエンジニアなどがおこなう

ミキシングの分野では、

「カクテルパーティ効果」と言って

聴かせたい特徴的な動きに対して

「入りの音量を少しだけ強調して、すぐに元に戻す」

というテクニックを用いることがあります。

そうすると聴衆の耳がそこにいくので、

元の音量に戻っていても

聴衆はそのラインを追ってくれます。

 

ピアノ演奏でも、

ピアノという楽器が表現できる範囲内であれば

アタックにおける音色や音量を

さまざまにコントロールすることができる。

これを心得ていて身につけている奏者が

ある意味、音色の引き出しが多い奏者であるということです。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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