【ピアノ】左右の手で異なるダイナミクスを表現するのが難しい場合の解決策

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ダイナミクスバランスをとろうとすると頭が混乱するところは、
その部分のダイナミクスを両手で一致させてしまうと
一気に弾きやすくなります。

 

具体例を見てみましょう。

楽曲が変わっても考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ ト長調 K.283 第3楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、123-126小節)

譜例に書き込まれているダイナミクスは

参考に筆者が書き入れたものであり、

原曲には何も書かれていません。

 

Dの部分の右手パートの音は

小節頭にきていますが、強調してはいけません。

【ピアノ】小節頭だからといって何でもかんでも強くしない

という記事でも書いたように、

直前の音とワンセットでため息のような音型になっているので、

スラー始まりの音のほうに

やや重みが入るべきだからです。

しかし、その部分の左手には

深く響かせたいバス音がきますよね。

 

このような細かなアーティキュレーションも伴う場面で

左右の手で異なるダイナミクスニュアンスを表現しようと思うと

頭が混乱してしまうのではないでしょうか。

 

解決法があります。

譜例へ書き込んだように、

その部分のダイナミクスを両手で一致させてしまえばいいんです。

 

(再掲)

Dの部分を見てください。

両手とも mf になるようにダイナミクスを一致させています。

以下、細かく見ていきましょう。

 

Aの部分は、

メロディ部分に直前からのスラーがかかっていないので

普段、「伴奏を控えめに、メロディを響かせて」

などとやっているのと同じ。

問題なく右手のバランスを強く弾くことができます。

 

Bの部分が mp になっているのは、

左手パートを立体的につくるためです。

「バスを深く、それ以外の伴奏部分は控えめに」

ということで

バスとのダイナミクス差をつけています。

 

(再掲)

Cの部分の右手は

スラー始まりの音なので

Dの部分の右手よりも響かせたいため f

ここも、「伴奏を控えめに、メロディを響かせて」

などとやっているのと同じ。

問題なく右手のほうを強く弾けます。

 

さて、

細かなアーティキュレーションも伴う、問題のDです。

メロディはスラー終わりなので

直前よりもダイナミクスを落としてmf

バス音も前小節と同じように mf

このようにつじつまを合わせることで

両手とも mf になるように

ダイナミクスを一致させることができました。

 

このように文章にすると

非常に頭で考えている音楽のように感じるかもしれませんが、

やっていることは

「アーティキュレーションの原則を守り、メロディとバスを響かせて、伴奏を控えめにする」

という、音楽的な表現を目指している中で

頭の混乱を取り除けるように工夫しただけです。

 

ダイナミクスバランスをとろうとすると頭が混乱するところは

その部分のダイナミクスを両手で一致させてしまう。

応用できる場面はたくさんあるので

是非、お試しください。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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