ダンパーペダルは
響きが濁らないように踏み替えるのが原則。
一方、
楽曲によっては
濁ってもあえて踏んだままにしておく解釈ができます。
例えば、以下のような例。
レーガー「左手のための4つの特別な練習曲 より 4.前奏曲とフーガ 前奏曲」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、13小節目)
見ての通り、
ハーモニーチェンジが続くので
ほんらいでしたら
それらに合わせてペダルもチェンジするでしょう。
もちろんそれでもOKなのですが
譜例へ記譜したように
ペダルを踏みっぱなしにするのもアリです。
このようにすることで
ピアノがかなり鳴るため
ff のパワーと楽曲の持つ重々しさの両方を表現することができます。
たしかに濁るのですが、
曲想を考えると違和感なく
むしろ、
表現にとってプラスになっているように
感じることでしょう。
もう一例挙げます。
ラヴェル「水の戯れ」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、48小節目)
ここでも、
譜例へ書き込んだように
ペダルを踏みっぱなしにすることで
fff のエネルギーを表現できますし、
長いフレーズのひとかたまりとして聴かせることも可能。
この例は
上記のレーガーの例と比べると
濁り自体は少ないですね。
他にも
ラフマニノフなどのロシアものでは、
あえて長くペダルを使う解釈を
有効に使える作品が多くあります。
「あるていど和声が分かりにくい作品」や
「土臭さがある作品」などでは
上手くハマることが多い。
上の譜例で解説したような、
長いペダルにすることで表現できる内容(フレーズの長さ、ピアノの鳴り 他)
を踏まえたうえで楽曲へ向かっていると、
「ここで使えるかも…」
などと勘がはたらきます。
そうしたら、試してみて判断する。
この繰り返しで
少しずつ自分の表現にできるんです。
ペダルの踏み替えどころの判断は
必ずしも「濁り」だけではないことが
わかって頂けたと思います。
本記事で取り上げた譜例は少し難しい内容ですが、
実際に音を出して表現を確認してみてください。
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