ピアノにとって「湿気」は大敵。
ほんらい「乾燥」も避けるべきですが
筆者の周りでは湿気に悩んでいる方の方が圧倒的多数です。
今回は、
梅雨の時期が始まる前に知っておきたい湿気対策
について確認しておきましょう。
「楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)」
という楽器法の名著があり、
その中にピアノの湿気対策ついても書かれています。
少しだけ引用して紹介します。
① 窓ぎわ、洗面所・台所などの近くにピアノを置かない
② 全体を包むカバーをかけ放しにしない
③ 雨季などには除湿機を作動させたり、せめて乾燥した天気の日には内部へ通風する
④ 毎日全部の鍵を1回以上打って、アクションを運動させる
(抜粋終わり)
①に関しては、家庭環境によっては実践が難しいでしょう。
②③④に関しては、積極的に取り入れるべきですね。
♬「② 全体を包むカバーをかけ放しにしない」
例えば、毎日の練習の時だけカバーを取り払うのはいかがでしょうか。
ホコリなどが気になるので
普段はカバーをかけておきたいですが、
湿気も対策したい。
そこで、練習中だけ外すのです。
そうすると、
自分の演奏の音がよく聴こえるようになる利点もあります。
♬「③ 雨季などには除湿機を作動させたり、せめて乾燥した天気の日には内部へ通風する」
「楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)」
によると、
「市販の時計型の湿度計は20%近くまで誤差があり、全くあてになりません、
乾湿球の温度計で読み取るべきです。」
(抜粋終わり)
とのことです。
ちなみに私は、
「除湿機についている湿度調節機能と湿度計測機能」
で代用しています。
♬「④ 毎日全部の鍵を1回以上打って、アクションを運動させる」
これに関しては、
調律師さんに伺ってみました。
「アクションを運動させることによる、多少の通風効果を期待」
ということもあるようですが、
むしろ、
「湿気で木部が軟化して膨張するとアクション運動不良の原因になるので、毎日動かしておくことに意味がある」
とのことです。
「湿気そのものへの対策」ではなく、
「湿気による被害の予防」ということですね。
♬ 筆者が経験した、湿気による被害
これまでに筆者自身が経験した湿気被害としては
大きく以下の2つがあります。
◉ 鍵盤が膨張して上がってこなくなった
当時専門家に処置をお願いしたところ、
やはりどちらも「湿気」が原因だったようです。
この経験が、
湿気について気にかけるようになったきっかけにもなりました。
特に、
「ピアノの裏から見える支柱に、白カビが発生」
というのは、
のぞいてみないと気付きませんので見落としがち。
グランドピアノの場合は
下側から除けば確認できますし、
アップライトピアノの場合は
背面から見ればいいので
ピアノを壁につけていなければ確認できます。
ぜひ今すぐにチェックしてみてください。
本記事で紹介した、
「楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)」
という書籍は、
ほんらいは「楽器法」の書籍です。
オーケストラにおけるさまざまな楽器の特性が解説されています。
こういった書籍の中で
ピアノやオルガンについて
ていねいに解説してくれている書籍は
意外と少ないんです。
そういった意味でも貴重な資料です。
ピアノの項目では
「湿気対策」の他にも
楽器を長期にわたって良好な状態に保守する方法が書かれています。
◉ 虫害の防止
◉ アクション等機械部分の注意
◉ 調律と調整
有益な書籍ですので
興味のある方はチェックしてみてください。
◉ 楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
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筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
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