【ピアノ】梅雨前の必須知識:湿気対策 完全ガイド
► はじめに
愛用のピアノが突然弾けなくなった経験はありませんか?実は、その原因の多くは「湿気」にあります。
筆者自身、ある朝練習しようとしたら「鍵盤が戻ってこない」という事態に直面しました。原因は湿気による木部の膨張でした。他にも、目に見えない場所にわずかな白カビが発生するなど、湿気による被害を経験してきました。
本記事では、調律師への聞き取りや実体験に基づく知見をもとに、確実なピアノの湿気対策を紹介します。
► そもそも湿気がピアノに与える影響とは?
湿気によるピアノへの影響は、主に以下の3つです:
1. 木部の膨張による演奏不良
・鍵盤が戻りにくくなる
・アクションの動きが鈍くなる
2. カビの発生
・見えない部分での白カビ
・木材の劣化促進
3. 音質・音程への影響
・音質の悪化
・調律の狂い
► 実践的な湿気対策
「楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)」という楽器法の名著があり、その中にピアノの湿気対策ついても書かれています。
① 窓ぎわ、洗面所・台所などの近くにピアノを置かない
② 全体を包むカバーをかけ放しにしない
③ 雨季などには除湿機を作動させたり、せめて乾燥した天気の日には内部へ通風する
④ 毎日全部の鍵を1回以上打って、アクションを運動させる
(抜粋終わり)
①に関しては、家庭環境によっては実践が難しいかもしれませんが、特に②③④に関しては、積極的に取り入れるべきです。
‣ 窓ぎわ、洗面所・台所などの近くにピアノを置かない
1. 環境整備の基本
適正湿度:45-65%
推奨温度:20-25℃
2. 置き場所の選定
✕ 避けるべき場所:
・窓際(結露の影響を受けやすい)
・洗面所・キッチン近く(水気が多い)
・エアコンの真下(温度変化が激しい)
○ 推奨される場所:
・空気の流れが良い場所
・直射日光が当たらない場所
‣ 全体を包むカバーをかけ放しにしない
例えば、毎日の練習の時だけカバーを取り払うのはいかがでしょうか。
ホコリなどが気になるので普段はカバーをかけておきたいですが、湿気も対策したい。そこで、練習中だけ外してみましょう。
そうすると、自分の演奏の音がよく聴こえるようになる利点もあります。
実践的なカバー管理のポイント:
・練習時:必ずカバーを外す
・練習後:30分程度換気してから被せる
・週1回:晴れた日に2-3時間程度全体的な換気を行う
‣ 雨季などには除湿機を作動させたり、せめて乾燥した天気の日には内部へ通風する
同書によると、
「市販の時計型の湿度計は20%近くまで誤差があり、全くあてになりません、乾湿球の温度計で読み取るべきです。」
(抜粋終わり)
とのこと。
ちなみに筆者は、「除湿機についている湿度調節機能と湿度計測機能」で代用しています。
1. 除湿機の選び方:
推奨スペック:
・除湿能力:1日あたり5L以上
・運転音:40dB以下
・自動湿度調整機能付き
2. 除湿機の置き場所
・ピアノから1-2m離す
・風がピアノに直接当たらない位置に設置
・床置きより高さ50cm程度の位置を推奨
‣ 毎日全部の鍵を1回以上打って、アクションを運動させる
これに関しては、調律師に伺ってみました。
「アクションを運動させることによる、多少の通風効果を期待」ということもあるようですが、むしろ、「湿気で木部が軟化して膨張するとアクション運動不良の原因になるので、毎日動かしておくことに意味がある」とのことです。
「湿気そのものへの対策」ではなく、「湿気による被害の予防」ということですね。
► 日々のケア
□ 毎日のチェックリスト
・全ての鍵盤を1回以上押す
・湿度計のチェック
・カバーの状態確認
□ 2週に1回のチェックリスト
・カビなどが発生していないか、ピアノ裏面の確認
・除湿機のフィルター清掃
・室内の換気状態チェック
明日からできる湿気対策3か条:
1. 毎日の換気と全鍵盤運動を習慣に
2. 適切な除湿管理(湿度45-65%をキープ)
3. 定期的なピアノ裏面チェック
► 終わりに
本記事で紹介した、「楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)」という書籍は、本来は「楽器法」の書籍です。オーケストラにおけるさまざまな楽器の特性が解説されています。
こういった書籍の中で、ピアノやオルガンについて丁寧に解説してくれている書籍は意外と少ないのです。そういった意味でも貴重な資料です。
ピアノの項目では、「湿気対策」の他にも、楽器を長期に渡って良好な状態に保守する方法が書かれています。例えば:
・温度変化に対する注意
・虫害の防止
・アクション等機械部分の注意
・調律と調整
有益な書籍なので、興味のある方はチェックしてみてください。
・楽器学入門(著:金光 威和雄 音楽之友社)
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