今回も、
を取り上げます。
楽曲が変わっても基本的な考え方は同様です。
この作品の難しさのひとつはダイナミクス。
松葉がいろいろと書かれているにも関わらず
その結果、どれくらいのダイナミクスにするのかは
要所しか書かれていないため
演奏者が判断していかなくてはいけないのです。
松葉の行き先のダイナミクスをどう決めていけばいいのか。
1-20小節までの一例を示しましたので
参考にしてください。
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-20小節)
◉ 1小節目は p で軽く
パデレフスキ版では
1小節目のダイナミクスが書かれていません。
ここはまだシンプルなスタート地点ですので
p で軽く開始するのがいいでしょう。
◉ 9小節目で mf までふくらませる
5小節目からの4小節間にわたるクレッシェンドは
到達点が mp だと
音楽が開いていくのにも関わらず遠慮がち。
だからと言って
f まで膨らませてしまうと
序盤のここではやりすぎでしょう。
mf くらいまでにしておくのがベターです。
また、到達点から逆算して7小節目で mp に。
p から mp までよりも
mp から mf までのほうが
ダイナミクスの開きが大きい。
(mp と mf の中間を作りたいくらいですね。)
しかし、同じ2小節分でクレッシェンドするように書き込みました。
したがって、
“後ろ寄り” で大きくなるクレッシェンドを
表現できるようにしたわけです。
◉ 10小節目の終わりは音楽が閉じているので p まで落とす
9-10小節目のデクレッシェンドですが、
10小節目の終わりはフレーズが閉じていますので
p までおさめましょう。
◉ 11小節目で subito mp にする(9小節目との差をつける)
(再掲)
11小節目で繰り返しをしますが、
9小節目とは異なり、左手が薄くなっています。
(デュラン版などの一部の版では、9小節目と同じになっています。)
したがって、
9小節目との差をつけるという意味でも、
11小節目は mf にせず、subito mp にするといいでしょう。
◉ 13小節目で p まで落とす
11-12小節に書かれているデクレッシェンドで
どこまで落とすかについてですが、
オーソドックスに
繰り返しの13小節目を
また p で始めようと思えば、決まります。
◉ 13-19小節目は同様
共通部分のダイナミクスは
先程と同様につくりましょう。
◉ 20小節目にはクレッシェンド、しかし、21小節目で p にしたいため、デクレッシェンドに変更
パデレフスキ版では20小節目にクレッシェンドが書かれています。
デュラン版などいくつかの版では
何も書かれていません。
こういったところは逆算が必要。
21小節目は多くのピアニストが
p で始めています。
(パデレフスキ版では何も書かれていません。)
一方、
音型が流れるように続いているため
クレッシェンドして subito p にするのは困難かつ音楽的でないのです。
したがって、
例外として20小節はデクレッシェンドして
21小節目の p へ入りましょう。
本記事はここまでです。
デュナーミクに関して
少しづつ学びを深めていきましょう。
「小犬のワルツ」に関しては
以下の電子書籍で解説しています。
【ショパン「小犬のワルツ」を更に学びたい方へ】
以前に出版していた同書の内容に大幅加筆し、
完結編を完成させました。
完結させるにあたって、
読みにくい箇所の修正などもおこないました。
◉ 大人のための独学用Kindleピアノ教室 [小犬のワルツ] 徹底攻略
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント