【ピアノ】肝心なダイナミクス記号が書かれていないときの決め方

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松葉がたくさん書かれているのに
肝心なダイナミクス記号が書かれていないケースで
どのようにデュナーミクをつけていけばいいのかについて
解説しています。

 

今回も、

ショパン「ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1(小犬)」

を取り上げます。

楽曲が変わっても基本的な考え方は同様です。

 

この作品の難しさのひとつはダイナミクス。

松葉がいろいろと書かれているにも関わらず

その結果、どれくらいのダイナミクスにするのかは

要所しか書かれていないため

演奏者が判断していかなくてはいけないのです。

松葉の行き先のダイナミクスをどう決めていけばいいのか。

1-20小節までの一例を示しましたので

参考にしてください。

 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-20小節)

◉ 1小節目は p で軽く

 

パデレフスキ版では

1小節目のダイナミクスが書かれていません。

ここはまだシンプルなスタート地点ですので

で軽く開始するのがいいでしょう。

 

◉ 9小節目で mf までふくらませる

 

5小節目からの4小節間にわたるクレッシェンドは

到達点が mp だと

音楽が開いていくのにも関わらず遠慮がち。

だからと言って

f まで膨らませてしまうと

序盤のここではやりすぎでしょう。

mf くらいまでにしておくのがベターです。

 

また、到達点から逆算して7小節目で mp に。

p から mp までよりも

mp から mf までのほうが

ダイナミクスの開きが大きい。

mpmf の中間を作りたいくらいですね。)

しかし、同じ2小節分でクレッシェンドするように書き込みました。

したがって、

“後ろ寄り” で大きくなるクレッシェンドを

表現できるようにしたわけです。

 

◉ 10小節目の終わりは音楽が閉じているので p まで落とす

 

9-10小節目のデクレッシェンドですが、

10小節目の終わりはフレーズが閉じていますので

p までおさめましょう。

 

◉ 11小節目で subito mp にする(9小節目との差をつける)

 

(再掲)

11小節目で繰り返しをしますが、

9小節目とは異なり、左手が薄くなっています。

(デュラン版などの一部の版では、9小節目と同じになっています。)

したがって、

9小節目との差をつけるという意味でも、

11小節目は mf にせず、subito mp にするといいでしょう。

 

◉ 13小節目で p まで落とす

 

11-12小節に書かれているデクレッシェンドで

どこまで落とすかについてですが、

オーソドックスに

繰り返しの13小節目を

また p で始めようと思えば、決まります。

 

◉ 13-19小節目は同様

 

共通部分のダイナミクスは

先程と同様につくりましょう。

 

◉ 20小節目にはクレッシェンド、しかし、21小節目で p にしたいため、デクレッシェンドに変更

 

パデレフスキ版では20小節目にクレッシェンドが書かれています。

デュラン版などいくつかの版では

何も書かれていません。

こういったところは逆算が必要。

21小節目は多くのピアニストが

p で始めています。

(パデレフスキ版では何も書かれていません。)

一方、

音型が流れるように続いているため

クレッシェンドして subito p にするのは困難かつ音楽的でないのです。

したがって、

例外として20小節はデクレッシェンドして

21小節目の p へ入りましょう。

 


 

本記事はここまでです。

デュナーミクに関して

少しづつ学びを深めていきましょう。

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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