想像してみてください。
ベルなどをゴーンと鳴らし、
響いているそれにゆっくり手を触れると
「ボワン」と、ゆっくり響きがミュートされます。
反対に、
バッと手を触れると
バッと急に響きがミュートされますよね。
これらが想像できると
この後の話がわかりやすいと思います。
以下の写真を見てください。
弦の上に乗っている、いくつも並んでいる黒いものがダンパー。
(写真:自身で用意した写真です。無断転載はしないでください。)
ダンパーペダルを使用していないときは、
弾いた1音に対応するダンパーのみが上がり
そのときに解放された弦が響くことになります。
鍵盤の上げ離し方をゆっくりにすると
弦にダンパーがゆっくりくっつくので
ゆっくりとミュートされ、
スタッカートの時のように
鍵盤の上がり方が急激になると
弦にダンパーが急激にくっつくので
バッと音がミュートされます。
これと似たようなことはダンパーペダルの操作でも起こる、
というのが今回の記事の主旨。
ダンパーペダルを踏むと
鍵盤単位ではなく
すべての鍵盤に対応するすべてのダンパーが
いっせいに弦から離れるように設計されているため、
どの鍵盤を弾いても音が響き続けるんです。
では、ゆっくりとペダルを踏み込んでいくとどうなるのか。
とうぜん、ダンパーはゆっくりと弦から離れていきます。
ゆっくりとペダルを上げ離していくと
ゆっくりと弦へ接触していきます。
このような構造から、
ペダルコントロールのスピードが
出てくる音に影響するということ。
それほど影響がないのではないかと思うかもしれませんが、
ダンパーが弦へ接触する面というのは
フェルトが付けられていて、
硬い面になっているわけではありません。
したがって、
弦との接触がいきなりバッサリと途切れるのではなく
徐々に途切れるようになっており、
この小さなことが音へ与える影響は小さくないんです。
ペダルを踏み込むスピードコントロールを
どのように実際の演奏へ応用していけばいいのかについて
いくつかの例を挙げておきましょう。
打鍵と同時に踏み込みリズムを強調する「リズムペダル」を使うときには、
速いスピードでバンッと踏み込む
ペダルによる余韻が徐々にかかっていくような効果を出したいときなどで
いきなり音色が変わってしまうのを避けたいときには、
ゆっくり踏み込んでいく
音がカットアウトしたような印象的な効果を出したいときには、一気に上げ離す
音の伸ばしなどで余韻を大切に切りたいときには、
徐々に上げ離していく
このほか、欲しい表現に応じて
さまざまなペダリングのアイディアが考えられます。
「ダンパーペダルの踏み込み方と離し方におけるスピード」
という視点を必ずもって演奏するようにしましょう。
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