具体例で見てみましょう。
楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。
シューベルト「ピアノソナタ第14番 イ短調 D 784 Op.143 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、35-37小節)
このような書法は
ピアノの弾き手にとっては泣かされるものですね。
左手パートに出てくる
休符混じりの断続的な伴奏と同時に、
右手パートには
指では完全にはつなげられないメロディレガートが要求されています。
Allegro giustoで。
どこでペダルを踏むかを決めるのが難しいんですよ。
【A】-【D】までの4パターンのペダリングを示しました。
【B】OKだけれども、実質左手パートの8分休符がなくなってしまう
【C】NG。8分休符のところでペダルを踏むが、高確率で8分音符の尻を “不自然に” 拾ってしまう
【D】NG。休符混じりの断続的な伴奏の意味が完全になくなってしまうし、メロディも濁る
(再掲)
OKである【A】と【B】のペダリングについて
もう少し詳しく見ていきます。
【A】
8分休符の部分でペダルを離すので
その音価は守られますが、
メロディのオクターヴはペダルでつなげられません。
B音を「1 4」の運指でとれば
トップノートはつながりますが、
親指の連続部分は
どうしても途切れてしまいます。
(再掲)
【B】
4分休符の部分でペダルを離すので
8分音符が実質4分音符ぶん伸びてしまい
音価が守られません。
しかし、メロディのオクターヴは
ペダルのおかげでつながります。
このペダリングをとっているピアニストは多いようです。
「何かを手放して何かを得る」
みたいな方法で選択しなければいけない場面ですね。
テンポの速さもありますし、
ここまでに挙げたすベての問題を解決できる方法を
筆者はまだ見つけられていません。
いずれにしても、
「断続的な伴奏と指ではつなげられないメロディレガートの同居」
が出てきたときには、
ペダリングを吟味しなくてはいけないですね。
ちなみに、
36小節目から37小節目へ移るときに
メロディのスラーが切れているのにも関わらず
どうしてペダルで音をつなげてしまってもいいのかが疑問に思う方は、
「シャンドール ピアノ教本 身体・音・表現」 著 : ジョルジ・シャンドール 監訳 : 岡田 暁生 他 訳5名 / 春秋社
という書籍の
「第16章 音楽の句読法」を参考にしてください。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント