「変拍子」の楽曲を
効率よく譜読みするために必要なポイントとは、
「分割を調べる」
ということです。
例えば「7拍子」の箇所なら
「3拍+4拍」なのか、
「4拍+3拍」なのか、
それとも
「2拍+2拍+3拍」なのか・・・など。
他の組み合わせも考えられますね。
分割を見分ける方法のひとつ目は、
「メロディに書かれているアーティキュレーションの切れ目をチェックする」
ということ。
(譜例)
この例は「3/8+4/8」になっています。
作曲家によっては
拍子記号自体を
「7/8」ではなく
「3/8+4/8」と親切に書いてくれている場合もあります。
分割を見分ける方法のふたつ目は、
「伴奏パートで、バスやアクセントがくる箇所をチェックする」
ということ。
(譜例)
これは「3/8+2/8+2/8」になっています。
バスがくる箇所というのは
音楽表現上、
重みが入るケースがほとんどですので
そこが分割点になっていることが多い。
楽曲によっては
他にも様々な見分ける方法が考えられますが、
基本はこのふたつと言えるでしょう。
このような拍子分割の整理を
譜読みの最初にきちんとおこなっておくことが
効率よく譜読みをしていくコツとなります。
ちなみに、複雑な楽曲では、
「メロディに書かれているアーティキュレーションの切れ目」と
「伴奏パートで、バスやアクセントがくる箇所」
が一致しないケースも出てきます。
両手で違う拍子を演奏している感覚になるので
非常に高度な音楽表現となります。
例えば「バルトーク」や「リゲティ」の作品などでみられます。
次に、
「変拍子ではないけれども、変則的な拍感覚で作曲されている楽曲」
を取り上げます。
シューマン「子供の情景 7.トロイメライ Op.15-7 へ長調」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、1-4小節目のメロディ)
特徴的なのは「メロディがもつリズム」です。
「点線カギマーク」で示したように、
「2拍でとる箇所」と「3拍でとる箇所」が混在しています。
つまり、拍子記号は「4/4拍子」ですが、
4/4拍子の強拍に重みを入れて演奏するやり方では、
音楽が歪められてしまいます。
こういった、
拍子記号とメロディのもつ拍子感覚が一致しない作品は
シューマンではよく見られます。
シューマンの作曲技法上の特徴と言えるでしょう。
毎回「2/4拍子」や「3/4拍子」に書き換えてしまうと
「そこだけ意味をもってしまう」ので、
あえて「4/4拍子」のまま書かれていると推測できます。
こういったことを踏まえたうえで譜読みをするのと
そうでないのとでは
重みを入れるところの解釈にも差が出てきます。
繰り返しますが、
今回紹介したふたつのタイプの楽曲、
◉ 拍子記号は変えずに変則的な拍感覚で作曲されている楽曲
これらを含む作品に取り組む際には
「分割を調べる」
ということを意識してみましょう。
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