「フォルテのときに、すぐに音にならないで」
各種参考書に書いてあったり、
習いに行っている方は指導者から
このようなことを言われるはず。
「すぐに音になる」というのは
何となくわかると思いますが、
この感覚をつかむのはなかなか難しく
中級以上の考え方になってきます。
要するに、
タテにカツンと打鍵せずに
打鍵速度と打鍵角度をコントロールして
フォルテの音を出してほしい、ということ。
筆者は、このイメージを伝えるときに
「ンパ」という言葉を使っています。
「パ」と発音せずに「ンパ」。
音になるまで一瞬の時間があるイメージです。
この感覚をさらにつかむため、
「レシェティツキー・ピアノ奏法の原理」 著 : マルウィーヌ・ブレー 訳 : 北野健次 / 音楽之友社
という書籍より
次の抜粋を見てください。
シューマン「幻想小曲集 気まぐれ Op.12-4」
譜例(PD作品、Finaleで作成、2-3小節)
(以下、抜粋)
★印を付けられたオクターヴは、アルペッジョにして、
しかも下の方の低音音符は、
1拍めとちょうどいっちするようにひかれ、
また一方、上の方の低音音符は、
右手の和音と同時に打たれ、
そこに非常にわずかな遅延ができるわけである。
(抜粋終わり)
この文章は「リズム」に関しての話題の中で
書かれたものなのですが、
本記事で取り上げている
「ンパ」の感覚を理解するためにも役に立つので
取り上げました。
この、
「上の方の低音音符は、右手の和音と同時に打たれ、そこに非常にわずかな遅延ができるわけである。」
という部分がポイントで
この右手和音の鳴り方、
つまり、
拍頭とのあいだにある一瞬の時間こそ
「ンパ」の感覚に近いものです。
実際に「ンパ」を表現したいときには
「1拍めとちょうどいっちするようにひかれる音符」
の部分はなく、
これを取り除いても
音になるまでに一瞬の時間を表現するわけですが、
譜例のようなもので感覚をつかんでおくと
少しハードルが下がるでしょう。
ここに上記「打鍵時のコントロール」が加わると
「すぐ音にならないで」を克服することができます。
◉ レシェティツキー・ピアノ奏法の原理 著 : マルウィーヌ・ブレー 訳 : 北野健次 / 音楽之友社
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