具体例を見てみましょう。
楽曲が変わっても考え方は応用できます。
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第10番 BWV 855 ホ短調 より プレリュード」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、5-6小節)
上段のカギマークで示したところを見てください。
ここではメロディに跳躍があるうえに
跳躍後に和音をつかまないといけないので
指でつなげるのは困難です。
しかし、上段も下段も細かく音が動いているので
ダンパーペダルを使おうと思うと
濁ってしまいます。
解決策は、浅く踏む「つなぎペダル」を使用すること。
テンポがゆるやかなので、
譜例へ書き込んだように
必要な部分で
つなぎとして1/4ペダルを使うといいでしょう。
この楽曲は後半で Presto になりますが
それまでは作曲家自身によるテンポ指示はありません。
J.S.バッハ研究の第一人者であるヘルマン・ケラーは
この譜例の部分、つまり楽曲の前半部分は
♩=63 程度を提案しています。※
※
「バッハのクラヴィーア作品」
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社 より
(再掲)
筆者の感覚では、
譜例の部分のつなぎペダルとして
1/2ペダルだと
濁りが少し気になる印象。
とうぜん、フルペダルは論外です。
濁ってしまうけど使うべき「つなぎペダル」を成立させる方法は、
ハーフペダルを使うこと。
その中でも、1/4ペダルで薄く踏むこと。
◉ テンポはどれくらいなのか
など他の要素にもよりますが、
基本的には、上記のように考えておきましょう。
ハーフと言うと
1/2ペダルのことのみを指す場合もありますが、
3/4、1/2、1/4などのあらゆるものの総称として
ハーフペダルと呼ぶ分類もあるので、
本記事ではそれにならって
1/4ペダルのことも「ハーフペダル」と呼んでいます。
◉ バッハのクラヴィーア作品
著 : ヘルマン・ケラー 訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社
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