【ピアノ】音楽の流れを変えるきっかけを読み取る

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譜読みのときには、
発見しなくても弾けるけれど
発見すると少し楽曲理解が深まるような
細かなことに目を光らせましょう。

 

具体例で見てみましょう。

楽曲が変わっても基本的な考え方は応用できます。

 

モーツァルト「ピアノソナタ第8番 K.310 第1楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、109-115小節)

音楽の表現は

伴奏型に大きく左右されます。

 

再現部第2主題から

刻む伴奏型が続いてきましたが、

譜例の最初、109小節目からは

伴奏型が変わったことで

横流れが強調された表現に変化。

 

そして、113小節目の丸印で示した和音がきっかけで

114小節目からアルベルティ・バスが始まり

横流れになっていた音楽を引き締めて

テンポは変わらずとも

音楽がさらに動き出します。

 

(再掲)

この丸印で示したような、

音楽の流れを変えるきっかけを

きちんと読み取りましょう。

 

【補足】
ちなみに、
この和音がきっかけになるわけなので、
深めの音で弾いて
次の小節へエネルギーをつなぐ解釈も
何人かのピアニストがやっていますね。
113小節1拍目の和音を
大きくならないようにおさめておくと
その効果がより高くなります。

 

提示部の同所を見てみると

ダウンビートを示すこのきっかけの和音は

譜例で示した再現部にしか出てこないことが分かります。

聴き比べて、たったひとつの和音による

表現の大きな違いを確認してください。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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