【ピアノ】ピアノ上達の新しいアプローチ:多様な学びの可能性

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【ピアノ】ピアノ上達の新しいアプローチ:多様な学びの可能性

► はじめに

 

ピアノ学習は、一つの方法に限定する必要はありません。音楽の世界には、多様な学びのアプローチがあります。

本記事では、従来のピアノレッスンの枠を超えた、創造的で刺激的な学習方法を紹介します。異楽器のプロフェッショナルから直接学ぶ機会、異なる視点からのアドバイス、そして音楽を深く理解するための多角的なアプローチについて探求していきます。

 

► A. ピアノレッスンの多様な学び方

‣ 1. チェリストから受けたピアノ伴奏のレッスンとは

 

音楽大学では、演奏科にいる学生のうちピアノ科、オルガン科、ハープ科、・・・など、伴奏を必要としない楽器があります。

一方、管楽器や弦楽器などは定期試験やコンクールなどあらゆる時にピアノ伴奏者を必要とします(無伴奏作品を選曲しない限り)。そこで、大学の教員もしくは、作曲科やピアノ科の学生がピアノ伴奏を受け持つのです。

筆者も数人の伴奏を受け持っていましたが、そうすると、本番前になると受け持った学生の個人レッスンにも帯同することとなります。

 

チェロのレッスンに帯同した際、チェロの教授のレッスンを受けることができました。

指導者にもよりますが、ツッコミのほとんどはチェロに対してです。特に、ピアノパートの役割が伴奏に徹していることが多い作品の場合はそれが顕著です。

「チェロとピアノのための〜」などといったピアノも主役になる作品では、ピアノに対しても指導が入ります。

多くの場合は、「もっとこういう音を出して欲しい」というものでした。

 

もちろんチェリストの先生なので、ピアノを使ってどのような技術を使えばそのような音が出るかはそれほどは分かっていません。

したがって、指導としてはテクニック面ではなく音楽面での指導が中心となります。

一方、それが勉強になりました。

例えば:

・チェロのこの音域は箱鳴りがするから、ピアノの音色に注意して
・機会があったら、コントラバスの後ろに座ってオーケストラを聴かせてもらってごらん

などといったような独自の指導が入ります。

 

多くのピアノの先生の場合は、自身がオーケストラの中に長期間入る経験をしたことがありません。したがって、指導の内容は良くも悪くもピアノで想定できる範囲の内容になります。

 

音楽に対する感覚を広げるためにも、可能であればピアノ以外の楽器の先生の指導を受けてみるといいでしょう。

意欲的にアンサンブル作品に取り組むことレッスンを受けるチャンスをつかむポイントです。

‣ 2. 指揮者から受けたピアノレッスンとは

 

筆者は指揮者の先生によるピアノレッスンを受けたことがあるのですが、そのときに、面白い感覚を味わいました。

うまく表現できていない部分があると、隣で指揮を振ってくれてそれを参考に弾いていくのですが、これが感覚的にすごく分かりやすかったのです。

 

アゴーギクというのは、「そこを、ちょっと速く」などと言葉で説明されても中々理解しにくいもの。一方、指揮で導いてもらえると「うん、そんな感じ。あっ、そこはもっとグワーンって…」というような抽象的な言葉が並んでいるのに、断然理解できます。

 

その他の表現面でも、例えば、フォルテを出すときの指揮者の呼吸や仕草から:

・タイミング
・ニュアンス
・テンション

などが伝わってきて、「そこは、深く」などと言葉で言われるよりも、ずっと分かりやすかったのです。

 

当然、ピアニストから習う時のように、「どういうふうに身体を使って、どういう音の出し方をすれば、そういう音が出るのか」というピアノそのもののテクニックの指導は多くありませんでした。

しかし、ある程度弾けるようになってきたレベルに達してから受けるレッスンとしては、とても勉強になると感じました。

 

指揮者によってレッスンの進め方は異なると思いますが、いずれにしても普段とは異なる発見があるはずです。

 

‣ 3. 作曲家によるピアノレッスンとは

 

初めに、音楽大学の教育システムの話を例として挙げます。

 

音大の教授陣を見てみると、ピアノ科であってもピアノが達者な「作曲家の先生」が数人は席を持っているものです。

現在では2人の先生につける制度がある音大も随分と増えてきました。

そういった場合に、「ピアニストの先生」と「作曲家の先生」のそれぞれにピアノを習うと、効果の高い学習ができます。

 

コンクールなどでの好評を見てみても、「ピアニストの先生」と「作曲家の先生」とで違った視点からの指摘があるもの。

どちらがいいというわけではなく、両方の観点が学習者を成長させてくれます。

 

筆者がすすめるのは、必ずしも専門を目指す方でなくても、作曲家の先生によるピアノレッスンを受けてみること

 

「楽曲がどうできているのか」という観点で音楽を捉えたレッスンをしてもらえるはずなので、演奏会前などに受講すると総合的な仕上げができるはず。

 

また、興味のある方は、今取り組んでいる作品の「楽曲分析(アナリーゼ)」のレッスンを依頼するのもいいかもしれませんね。

いずれにしても、ワンレッスン制でレッスンをしている先生を探すのがポイントです。

 

一つ、注意点があります。

言うまでもないことですが、現在ピアノ教室に通っている方は、必ず普段の先生に許可をとるようにしましょう。

 

‣ 4. 文章アドバイスサービスによるピアノレッスンとは

 

「文章アドバイスサービスによるピアノ指導」とは、演奏動画などを送って、後に文章でアドバイスをもらえるレッスンのことです。

 

正直、本当に細かいところまでレッスンできるとは言えません。生の音で演奏を聴いているわけではないからです。

 

一方、受講者側のメリットはあります。

前提として:

・ZOOMなどのオンラインが苦手な方
・時間に大きな制約がある生活をしている方

などにとっては便利です。

加えて、もっと中身の面でのメリットがあります。

「指導者は文章で返事をする関係上、言葉を考えるので、流れて終わってしまう可能性がない」ということ。

 

個人レッスンに通ったことのある方でしたら分かると思いますが、流れて終わってしまうレッスンが時々あります:

・通して弾いたら、「いいんじゃない」で済んでしまったり
・レッスンに関係のない話でレッスン時間が終わってしまったり

対して、文章アドバイスサービスによるピアノ指導の場合は、必ず何かしらのフィードバックをもらえます。

 

演奏しながら「そうではなくてこうだよ」などと付きっきりの指導はできないので、「奏法を改善するタイプの指導」を受けたい方には向きません

 

・「この音は重要な音なのでもっと太い音で弾いた方がベターです」
・「ここの運指を2パターン書いておきます」

などど、文章で伝えやすい内容を見てもらいたい場合には有効でしょう。

 

自身の希望に合わせて有効に取り入れてみるのはいいかもしれません。

 

► B. 参加型イヴェントから学ぶ機会

‣ 5. ピアニストのレッスンを受ける機会の作り方

 

ピアニストの個人HPなどを見るとスポット(単発)レッスンの情報が出ていることもありますが、ある程度のレヴェルに達していないと受講できなかったりと、制約が多いケースも。

 

そんな中、「大人であれば誰でも」と言ってもいいほど幅広い方を対象にしてピアニストのレッスンを提供しているイヴェントがあります。

それは、音楽大学が主催している、社会人レッスンです。

 

はじめに断っておきますが、筆者が今現在教えている学校には社会人レッスンのコースはありませんので、宣伝ではありません。

 

社会人レッスンというのはいくつかの音楽学校が開催している社会人を対象にしているレッスンイヴェントで、単発もしくは、数回セットの短期間だけで受講できるもの。多くの場合、レヴェルに関係なく受講することができます。

 

指導してくれるのはその音楽学校の教員なのですが、ここにポイントがあります。

音大で教えている年配の教授の中にはすでに演奏活動から身をひいてしまっている方もいるのですが、社会人レッスンで教えてくれるのは、たいてい、若手のバリバリ演奏活動をしている講師。

つまり、現役のピアニストから習える可能性が高いのです。

 

・随時募集している学校や
・年に数回のみ講習会形式で募集している学校

など様々な形態がありますので、興味のある方は調べてみてください。

 

短期間で受講できるので、普段は独学の方が学びを深めるのにも適していると言えるでしょう。

 

‣ 6. 音楽祭&マスタークラス:グローバルな学びの場

 

マスタークラスには様々な形態のものがありますが、ある程度弾けるようになった学習者などが著名なピアニストからレッスンを受ける企画は多くあります。

例えば:

・音楽大学が主催しているもの
・音楽祭に組み込まれているもの
・泊まり込みのワークショップ形式で開催されているもの
・もっと小さな規模で企画されているもの

など、他にも多種多様です。仮に聴講であっても積極的に参加してみるのがおすすめ。

 

マスタークラスを聴講する利点は:

1. あらかじめレッスン曲が告知されることが多いので、徹底的に予習できる
2. 独学では気づきにくい視点でのプロの意見を聴ける
3. 出会いが多い

などです。

1、2は当然のこととして、筆者が重視しているのは「意外と出会いが多い」という点。

 

いろいろな音楽祭が存在しますが、いざ参加してみると、国内のイベントであっても外国から来ているピアノ学習者が意外と多いことに驚くはず。そこで一生ものの出会いがあるでしょう。

実際に、筆者自身も昔に参加した音楽祭で知り合った海外の音楽家といまだに交流が続いています。

 

こういった音楽祭に複数参加することで、かなりインターナショナル色の強い音楽環境に自らを持って行けます

もちろん、ピアノの力に自信がなくても趣味でピアノを演奏している方でも大丈夫。とりあえず聴講をするだけでも、意欲次第で多くの学びがあります。

是非、新たな学び方を取り入れてみてください。

 

‣ 7. 巨匠の講演から学ぶ音楽と人生

 

探してみると、国内外の巨匠の話を聞けるイヴェントは数多く出てきます。

 

レッスン形式でそれを聴講するマスタークラスや、講演会のような形のものもあり、どちらもためになるものですが、講演のものにも多く足を運ぶことがおすすめ

 

巨匠の解釈やテクニックのあれこれを学べるという意味では、レッスンには価値があります。

一方、何度かマスタークラスを聴いたことがある方は気づいているかもしれませんが、巨匠だからといってものすごく突拍子もないことを言うわけではありません。日頃、よく勉強した優れた指導者についている方や有益な教材に囲まれている独学の方にとっては、聴き慣れたこともたくさん耳に入ってきます。

 

一方、講演の方は、実技レッスンこそなくてもその巨匠の生き方そのものを学べます

豊富な音楽活動やその他から経験したことをリアルに伝えてもらえることが多いので、その人物ならではの話題になります。

 

そういったところから:

・音楽に対する考え方や生き方
・辛いことや楽しいこと

などを実体験をもとに教えてもらうことで、話を聴き終わった後に、自分そのものに影響を与えてくれたことに気づきます

 

このような巨匠の経験を知れて自分について考える機会も、レッスンと同じくらい大切にして欲しいと思います。

 

► 終わりに

 

一つの方法にこだわらず、様々な角度から音楽に触れることで、自分の音楽性は驚くほど豊かに成長します。

本記事で紹介した学習方法は、単なる技術的な上達だけでなく、音楽への深い理解を育む機会となるでしょう。

 


 

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