【ピアノ】いきなり黙ることによる引きつけ表現

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楽曲の中にでてくる
さまざまなタイプの「沈黙」の意味を考えると、
音楽の理解が深まったり
余韻の処理のニュアンスを考えるきっかけにもなります。

 

学生の頃に経験ありませんか。

授業中、しゃべりっぱなしだった教員がいきなり静かになって

「怒らせるようなことしたかな?」

と一瞬不安になったこと。

 

これって、

一種の引きつけの方法で

場の空気をコントロールすることができます。

 

音楽表現においても

似たような手法があります。

もちろんピアノ曲でも

次の例のように

効果的に使われている例は多い。

 

シューベルト「ピアノソナタ 第20番 イ長調 第4楽章」

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、330-334小節)

いきなり全声部が黙ることで

一種の引きつけ効果がでています。

音楽として

それがメリハリになるので

聴衆の集中力に影響を与える意味でも

効果的な表現と言えるでしょう。

 

この楽章では何度か

同じようないきなり黙る表現が使われています。

 

一方、

全声部が休符になるからといって

必ずしも同じような効果があらわれるわけでは

ありません。

 

以下の譜例は、

同じ楽曲より325-329小節です。

ここでの休符は

引きつけというよりは

段落感をつけるような

より常套的なやり方です。

「えっ、何?」

などといった印象を聴衆が感じることはほとんどない

と言ってもいいでしょう。

 

さらに異なる表現をもう一例。

 

ショパン「エチュード Op.25-7」 

譜例(PD楽曲、Finaleで作成、39-41小節)

この例では

直前から自然につながるように

余韻が休符へと溶け込みます。

上記、シューベルトの例との違いを感じてください。

 

今回取り上げたような内容は

音楽を理解していくうえで大切になってくる観点。

さまざまなタイプの「沈黙」の意味を考えると

余韻の処理のニュアンスを考えるきっかけになったりと

演奏そのものにもプラスにはたらきます。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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