♬ ラヴェルのピアノ曲は、どれが入門におすすめ?
♬ 入門最適曲のおおよその難易度を知りたい
♬ どの楽譜を買えばいいのか分からない
こういった「知りたい」情報を全部集めました。
注 : 本記事で譜例を取り上げている作品は
パブリックドメインになっている作品です。
権利に関わる部分は表示しておりません。
譜例はFinaleで作成したものです。
■入門にオススメの楽曲
「前奏曲(1913)」
迷わずこの楽曲をオススメします。
理由は以下の3点です。
♬ 難易度的にもいちばん取り組みやすい
♬ ラヴェルの特徴的なサウンドがつまっており、いい教材になる
♬ 曲尺が約1分半と非常に短く、練習しやすさ最高
この作品の楽譜を手にすると驚くのですが、
見開き2ページしかないためにものすごく薄いのです。
曲尺は約1分半。
驚くようなコンパクトさを持った楽曲です。
したがって、練習のしやすさは最高。
尺が長い楽曲というのは
それだけで譜読みのハードルを大きく上げてしまい、
入門曲には向きません。
しかし、この楽曲は違います。
このコンパクトな楽曲を
さらに区切って練習するといいでしょう。
ちなみに、
シューマンに入門する学習者に対して
「組曲形式の作品」をすすめることがあります。
それも同じ理由。
1つ1つの楽曲がコンパクトで練習しやすいからです。
「ピアノソナタ第1番 第1楽章」のような
1つの楽章だけで15分近くある楽曲に取り組むよりも
入門という観点では組曲形式の方が適しています。
「たとえ、同じくらいの難易度だとしても」です。
♬ 難易度的にもいちばん取り組みやすい
とはいえ、
ラヴェルの作品の中にあって異様なコンパクトさを誇ると同時に、
難易度的にも一番取り組みやすいのです。
「ツェルニー30番入門程度」
の力があれば挑戦できるでしょう。
ただ単に「指を動かす」という観点でいえば
難しいところはまったくありません。
「出したい音色を出す」という観点で言えば
音数が少ない楽曲ならではの難しさがあり、
ていねいな練習を必要とします。
一箇所、演奏法の質問がよく出る部分のみ解説しておきます。
譜例(PD作品、Finaleで作成、10-15小節)
この譜例のように
曲の中間部で「両手が重なり合うところ」がありますので、
それぞれの手の位置を良く決めておく必要があります。
下段に書かれているパートを弾くときに
左手を鍵盤の奥の方へ入れて弾くことで
右手とのぶつかりを避けられます。
♬ ラヴェルの特徴的なサウンドがつまっており、いい教材になる
たった2ページの中に
ラヴェルの才能がギッシリ詰まっています。
彼の特徴的なサウンドがつまっており、
その世界観に触れる教材としては非常にいいものです。
他の高度な作品に引けをとりません。
特徴的なサウンドの一つが、
実は、先ほどの譜例のところ。
(再掲)
上段にオクターブのメロディが書かれており、
さらにそのオクターブの「間(あいだ)」に下段の和声音が挟まっています。
これは、ラヴェルがピアノ曲「ソナチネ」をはじめ
多くの楽曲で用いた楽器法。
オクターブの響きの中に和声音が挟まることで
ゴージャスな響きが生まれます。
ラヴェル以前の作曲家もやっていそうに感じるかもしれませんが、
ラヴェルの場合は特に、
メロディの動きについていくように
ハーモニーも移動していくのが特徴です。
■楽譜はコレを使おう
信頼性の高さから
ラヴェルの作品は一般的に「デュラン版」が使用され、
国際コンクールの標準楽譜にもなっています。
なのですが、
そのデュラン版の内容と照らし合わせてみたところ、
同じ内容のものが「ぷりんと楽譜」にもあるのです。
» 前奏曲(Maurice Ravel) /ピアノ(ソロ) 中級
リンク先の楽譜は
原曲としての内容は同じですが
「運指」などが補筆されているので
はじめて取り組む学習者にとって親切な内容になっています。
価格も、ぷりんと楽譜で買った方が「約1/4」とかなりお得です。
■練習のショートアドバイス
音楽的な内容については、
ワンポイントレッスン記事を出しています。
取り組むことになった方は
あわせて練習の参考にしてください。
【30秒で学べる】ラヴェル「前奏曲(1913)」ワンポイントレッスン
✔︎ あわせて読みたい
【ピアノ】初中級者のために:ちょっとマイナーなラヴェル入門オススメ曲
前奏曲(1913)と
「同じくらいの難易度」
「同じくらいの圧倒的短尺(約1分)」
「同じくらい音楽的な内容」
これらがそろった、あまり知られていない楽曲を紹介。
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
X(Twitter)
https://twitter.com/notekind_piano
YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCBeXKaDXKd3_oIdvlUi9Czg
筆者が執筆しているピアノ関連書籍に加え、
数多くの電子書籍が読み放題になるサービスです。
コメント