楽器演奏の上達に悩んでいませんか?
実は、多くの演奏の悩みは「ソルフェージュ」という基礎能力を育てることで解決できます。
このページでは、以下のような疑問や希望に答えていきます:
・ソルフェージュの必要性は感じているけれど始め方がわからない
・まずはソルフェージュの全体像を知っておきたい
・教室に行かなくても大丈夫なのか知りたい
ソルフェージュ入門:独学での始め方・学習法 完全ガイド
► はじめに
ソルフェージュに興味を持っている方は、おそらくすでにある程度楽器の練習をされている方でしょう。
後述しますが、楽器演奏が伸び悩んでいる原因はソルフェージュにあることも多く、演奏能力に大きく関係します。
「ソルフェージュの必要性は感じているけれど始め方がわからない」という方にまず取り組んでいただきたいのが、
「ソルフェージュの全体像を見渡すこと」です。
ソルフェージュはいくつかの分野を横断しており、全体像を把握しておくことが欠かせません。
そこで、「独学でソルフェージュを学びたい大人の方」へ向けて、始め方の手順がよくわかる「ソルフェージュ入門へのロードマップ第1弾」を作りました。
現時点では知識ゼロでもまったく問題ありません。本記事がすべての出発点です。
► 知識ゼロから始められる理由
現時点でソルフェージュの知識ゼロでもまったく問題ありません。今ではソルフェージュに精通している方々も、最初は知識ゼロからスタートしています。
筆者自身は「音楽学校を受験する」という理由があったため、ソルフェージュ専門の教室に通いました。
しかし、「基礎だけを徹底して楽器演奏に役立てたい」という理由で学ぶのであれば、教室に通わなくても独学可能です。
向き不向きや年齢制限はありません。
「子供は吸収が速い」「子供は記憶力が良い」といった事を良く耳にしますが、
「教材などの文章を読んで理解しながら学習を進めていく」
この学習方法をとるのであれば、言語能力が豊富な大人のほうが圧倒的に有利です。何歳からでも伸びていけます。
► ソルフェージュ入門で注意すべきこと3選
‣ ソルフェージュ全体像の把握を必ずおこなうこと
繰り返しますが、ソルフェージュというのはいくつかの分野を横断しており、全体像を把握しておくことが欠かせません。
「今どの部分を学習していて、他のどの部分と結びついているのか」
こういったことを把握しながら練習するかしないかで、伸び方に大きな差が出ます。
‣ 上達を急ぎすぎないこと
楽器演奏では、譜読みが終わるだけでも「新しい楽曲が大体弾けるようになった」という進歩がわかりやすく、達成感が得られやすいですね。
一方、ソルフェージュとは、「音楽を理解して表現するための基礎能力およびその訓練のこと」なので、
楽器演奏に比べるとはっきりとした上達は分かりにくい側面があります。
そういった分野だからこそ、上達を急ぎすぎず丁寧に学習していくことが大切です。
‣ 楽器レッスンの中に組み込まれたソルフェージュレッスンは受講しないこと
本記事は、「独学」で学びたい方を対象としています。
インターネットでソルフェージュ関連の調べ物をしていると
「楽器レッスンの中に組み込まれたソルフェージュレッスン」
を格安でおこなっているサービスが目につくと思います。
しかし、このような「ながら学習」の形態では体系的な学習はできないことがほとんどです。
たとえ “独学” であっても、ソルフェージュの全カリキュラムを理解して体系的に学ぶのであれば、そちらのほうが糧になります。
► ソルフェージュの定義とメリット
‣ ソルフェージュとは
ソルフェージュとは、「音楽を理解して表現するための基礎能力およびその訓練のこと」です。
ソルフェージュの本場フランスでは幼少期からソルフェージュを学ぶことも多いようですが、日本ではその重要性がまだ浸透していません。
さらには、「ソルフェージュは音楽学校を受験するためのもの」などと誤解されているケースさえあります。
‣ ソルフェージュ学習で得られるもの(楽器演奏に役立つ部分)
・譜読みのスピードや確実性が上がる
・譜読みの段階から、すでに音楽的な表現ができるようになる
・「一拍足りなくても平気で次の小節へ行ってしまう」などといったミスがなくなる
・勝手にテンポが速くなったり遅くなったりしなくなる
・正しく音楽的にリズムを表現できるようになる
他
このように、楽器演奏の伸び悩みの原因は実はソルフェージュにあることが多いんです。
ソルフェージュ力が上がることで、ソロ演奏はもちろん、アンサンブル演奏でも確かな成果を出せるようになります。
► ソルフェージュの4つの基本能力
ソルフェージュは以下の4つの基本能力で構成されています:
・読譜力
・聴音能力
・リズム表現能力
・基礎的な楽典的知識
‣ 読譜力
ソルフェージュにとって大きな比重を占める能力。
ただ単に音を拾って読めるようにするだけでなく、音楽的な要素を同時に読み取っていけるようにすることが目的です。
以下の練習を通して読譜力を養います:
・既曲視唱:知っている曲を楽譜を見ながら歌う練習
・既曲視奏:知っている曲を楽譜を見ながら演奏する練習
・新曲視唱:初見の楽譜を見て歌う練習
・新曲視奏:初見の楽譜を演奏する練習
・クレ読み:様々な音部記号(ト音記号、ヘ音記号など)で書かれた楽譜を読む練習
‣ 聴音能力
音の高さやリズムを聴き分ける能力のことです。主に「書き取り聴音」などの練習を通して養います。
聴音には以下のような種類があります:
・単旋律:1つのメロディーラインを聴き取る(”横”の流れ)
・和音連結:複数の音が同時に鳴る和音の進行を聴き取る(”縦”の響き)
・複旋律:複数のメロディーラインを同時に聴き取る
それぞれ独自の聴音能力が求められ、一つの能力が向上しても他の能力が自動的に向上するわけではありません。
‣ リズム表現能力
リズムを正しいタイミングで適切に表現する能力のことです。
意外と見落とされがちですが、重要なソルフェージュ教程です。
例えば:
・さまざまな音価の音符の違いを正確に表現する
・シンコペーションを安定して刻む
・付点リズムを正確に表現する
これらの練習は「リズム打ち」などの課題を通して養います。
‣ 基礎的な楽典的知識
基礎的な楽典的知識は、ソルフェージュの根幹です。以下のような要素が含まれます:
・読譜のために必要な知識
・楽譜を書くために必要な知識
・和声知識
楽典が身についていると、他の能力を育てる練習がスムーズに進みます。
したがって、本記事でソルフェージュの全体像を把握した後に真っ先に取り組むべきなのが「楽典」なんです。
► ソルフェージュ学習の次のステップ
これから具体的な練習に入っていく前に、まずは楽典の基礎を固めることをおすすめします。
楽典学習には、以下の書籍がおすすめです:
「楽典―理論と実習」著:石桁真礼生 他(音楽之友社)
この本の特徴:
・独学向けに分かりやすく構成されている
・例題が豊富で理解を深めやすい
・音楽学校の受験でも広く使用されている定番書籍
・シンプルな説明で初心者でも取り組みやすい
► まとめ:これからのソルフェージュ学習の道筋
1. まずは楽典の基礎を学ぶ
2. 楽典の基礎が出来たら、市販の教材やサービスを使って以下の練習に段階的に取り組む:
・既曲視唱・既曲視奏
・新曲視唱・新曲視奏
・クレ読み
・書き取り聴音
・リズム打ち
焦らず、着実に。これらの練習方法の詳細は、別の記事で解説していきます。
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