【ピアノ】ブルグミュラー25の練習曲修了後に弾きたい古典派名曲3曲:3分以内
► はじめに
ブルグミュラー25の練習曲を修了した多くの学習者が直面するのが「発表演奏会などの本番で何を弾けばいいのか」という問題です。技術的には一定のレベルに達したものの、いきなり上級の大曲に挑戦するには不安がある。かといって、古典派の練習曲ばかりでは音楽的な表現力が育たない…
そんな方のために、短時間で演奏でき、かつ一生のレパートリーとして価値のある古典派の名曲を3作品厳選して紹介します。どの作品もブルグミュラー25の練習曲修了程度の技術で取り組める、珠玉の名曲ばかりです。
► 厳選した3つの名曲
選曲基準:
以下の3つの観点から慎重に選曲しました:
1. 演奏しやすさ:技術的負担が適切で、楽曲が3分以内に収まること
2. 楽譜の入手性:信頼できる版が容易に入手できること
3. 音楽的価値:一生のレパートリーとして価値のある作品であること
また、ベートーヴェン「エリーゼのために」やモーツァルト「トルコ行進曲」などの、どのサイトを見ても書かれているような作品は避け、ややマイナーでありながらも注目すべき作品を選びました。
難易度について
本記事では、ブルグミュラー「貴婦人の乗馬」を★★★☆☆として、5段階で各曲の難易度を表示しています。
‣ ハイドン「アダージョ ヘ長調 Hob.XVII:9」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
難易度:★★★☆☆
演奏時間:約3分
作品概要:
ピアノ学習にとってのハイドンはソナタで有名ですが、このアダージョは単独作品として演奏会でも時々に取り上げられる美しい楽曲です。緩やかなテンポの中で歌謡的な旋律美が際立っています。
推奨楽譜:
ソナタ以外の重要作品を多数収録。原典に基づく信頼性の高い版です。
・ハイドン ピアノ作品集 ヘンレ原典版
‣ モーツァルト「行進曲 ハ長調 K.408/1(383e)」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
難易度:★★★★☆
演奏時間:約2分30秒(リピート省略時)
作品概要:
モーツァルトのピアノ作品の中では比較的知られていない作品ですが、堂々とした行進曲風の開始部と、対照的な中間部の優美なメロディが印象的です。モーツァルト特有の均整の取れた美しさと、発表会映えする華やかさを兼ね備えています。
推奨楽譜:
各種ロンドやメヌエットなど、ソナタ以外の重要作品を収録した貴重な曲集です。
・モーツァルト ピアノ小曲集 ヘンレ原典版
‣ ベートーヴェン「11のバガテル 第1番 ト短調 Op.119-1」
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
難易度:★★★★☆
演奏時間:約2分
作品概要:
ベートーヴェンはバガテルを数多く作曲しましたが、その中でもよく知られている一曲です。短い中にもベートーヴェンらしい劇的な表現と、ヘミオラなど工夫されたリズム技法が込められています。
推奨楽譜:
デジタルデータ(PDF)で手に入れたい方は、「ぷりんと楽譜」を利用するのもおすすめです。
原曲の楽譜:» 11のバガテル 第1番 Op.119-1(原曲)
原曲の楽譜に様々な解釈が補足された実用版:» 11のバガテル 第1番 Op.119-1(解釈の補足多数)
紙の楽譜で手に入れたい場合は、ヘンレ原典版を選ぶといいでしょう。以下の曲集には、各種ロンドやエリーゼのためになど、ソナタ以外の重要なピアノ曲が多く含まれており、とても良質な楽譜です。
・ベートーヴェン ピアノ作品集 ヘンレ原典版
おすすめの楽譜チョイス:
パターン1:原典版+ぷりんと楽譜の実用版
パターン2:ぷりんと楽譜の実用版のみ
► 作品比較表
曲名 | テン ポ |
主な学習効果 | 重点練習ポイント |
---|---|---|---|
ハイドン アダージョ | 緩やか | 古典的な装飾法、歌謡的表現 | 音域幅が広いメロディが不揃いにならないように意識 |
モーツァルト 行進曲 | 中程度 | 付点リズム、性格対比 | 付点リズムが甘くならないように意識 |
ベートーベン バガテル | 中程度 | リズム技法、構造分析 | セクション毎の性格の違いを明確に弾き分ける意識 |
► まとめ
どの作品も演奏発表会での単独演奏はもちろん、組み合わせての演奏も効果的です。短時間の作品なので、他の時代の楽曲と組み合わせたプログラム構成も可能で、幅広い活用ができるでしょう。
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