【ピアノ】移調譜面の書き方と移調演奏をマスターするための3つのステップ
► はじめに
本記事では、移調譜面の作成方法、さらに効率的に移調演奏を練習するための具体的な方法を紹介します。
移調が難しいと感じている方も、この方法を取り入れることで、段階的にスムーズに進めるようになるでしょう。
► 移調譜面の書き方と移調演奏
‣ 1. 間違えないで移調譜面を書くたった一つのコツ
多く耳にするのは「移調が上手くできない」という悩みです。
ピアノを演奏する方にとって移調が必要になるのは、例えば、以下のようなケース:
・歌の伴奏で、歌手からキーチェンジを頼まれた
・移調楽器が入ったピアノ合奏曲を作曲または編曲した
・学習で楽典の課題を解いている
Sibeliusなどの浄書ソフトで楽譜を書いていれば移調は一瞬ですが、手書きの場合は注意深く移さなければいけません。
間違えないで移調楽譜を書くたった一つのコツがあります。
とにかく、心を機械にしてください。
淡々と目の前の移調のみをこなし、書くときに、歌ったり感情を入れたりしないでください。
移調で大事なのは、音楽を感じることではなく間違えないで調を移すことです。
長2度上へ移調する場合、Fis音はGis音になりますね。では、Gis音と異名同音(エンハーモニック)のAs音で書いてもいいのかというと、そうではなく、基本的にはGis音で書く必要があります。
どうしてだと思いますか?
「2度上げる」ということであれば、2度上げないといけないからです。FisからAsでは3度上がってしまっています。
上がった半音の数は同じですが、それぞれの移調の意味が全く異なるのは言うまでもありません。
こういうことを心を機械にしていないとやってしまう。
とにかく、淡々と調を移してください。
移調は極論、楽典の基礎の基礎さえ分かっていれば、楽器が全く弾けない方にもできる作業です。
‣ 2. 効果的な移調演奏の学習 3ステップ
移調演奏の学習を始めたくても まずは何から始めればいいか迷っている方もいるはずです。
移調演奏学習用の市販教材もありますが、 今回は「今あるもの」を使って学習する方法を3ステップにまとめました。
以下の3ステップです:
【ステップ1】
すでに弾いたことのある短く易しい作品を、調号の少ない調へ移調した楽譜を作り、その楽譜通りに弾く。スラスラ弾けるようになるまで繰り返す。
【ステップ2】
ステップ1で弾いた移調版を移調楽譜無しで弾く。原曲の楽譜を見ながら弾く。スラスラ弾けるようになるまで繰り返す。
【ステップ3】
ステップ1-2とは別のすでに弾いたことのある短く易しい作品を、調号の少ない調へ移調して ”楽譜を作らずに” 弾く。原曲の楽譜を見ながら弾く。
この3ステップを楽曲を変えながらひたすら回していき、段々と調号の多い調にも挑戦していくと、移調演奏の力がコツコツ累積されていきます。
楽譜を書くのが面倒でも、ステップ1の過程を飛ばさないでください。まずは正しく移調して正しく弾く過程が必要だからです。
また、ステップ1-3を行っている時に時々原曲の調で弾く練習も取り入れて、頭を混乱させてください。異なる調で練習することで、柔軟な演奏能力を養うということです。
移調演奏の補助練習として、ハノン第1番を長調全調で弾くのもおすすめ。
「ハノンの1番を全調で弾く(運指は楽譜通りで)」
ただずらすだけですが、今までやっていた内容をあらゆる調でも弾くことに慣れる経験になり、指だけでなく頭にとっても良い準備練習になります。
► 終わりに
移調演奏や移調譜面の作成は、一見難しそうに思えるかもしれませんが、正しい手順と練習法を身につけることで確実に習得できます。
移調を繰り返すことで、音楽理論に対する理解も深まり、ピアノ演奏がさらに楽しくなります。
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