フォーレのおすすめピアノ曲 ~3つの視点からの紹介~
► はじめに
フランスの作曲家たちは数多くの魅力的な作品を残してきました。
ドビュッシーやラヴェルの作品については広く知られているものの、
フォーレのピアノ曲となると「一曲も知らない」という方が意外に多いようです。
本記事では、「これからフォーレのピアノ曲に取り組んでみたい」という方へ向けて、
3つの異なる視点から魅力的な楽曲をご紹介します。
► アプローチの仕方
フォーレの作品の多くは、相応の難易度を有しています。
そのため、まずは「聴いてみる」というアプローチが有効でしょう。
実際の音に触れ、心に響く作品を見つけてから取り組むのが望ましい方法となっています。
► 1. フォーレの代表的なピアノ曲
演奏頻度の特に高い作品として、以下の3曲が挙げられます:
‣ 夜想曲 第6番 op.63
· 「傑作」との評価が定着した名曲
· バラの香りが漂うような繊細な美しさが特徴
‣ 舟歌 第4番 op.44
· TV番組「スーパーピアノレッスン フランス音楽の光彩」での紹介を機に注目度が上昇
‣ 主題と変奏 op.73
いずれも中上級~上級者向けの作品であり、じっくりと時間をかけた取り組みが必要となっています。
【楽譜について】
春秋社版が最適な選択肢となるでしょう。
フランス音楽の演奏に定評のある藤井一興氏による編集・校訂・運指が特徴的です。
「夜想曲 第6番 op.63」収載
・フォーレ全集1〈新装版〉 (世界音楽全集)
「舟歌 第4番 op.44」収載
・フォーレ全集2 (世界音楽全集 ピアノ篇 新校訂版)
「主題と変奏 op.73」収載
・フォーレ全集3〈新装版〉 (世界音楽全集)
► 2. 比較的取り組みやすい作品
初めてフォーレに挑戦する方には、「8つの小品 op.84」がおすすめです。
以下の8曲で構成されています:
1. カプリッチョ op.84-1
2. 幻想曲 op.84-2
3. フーガ op.84-3
4. アダージェット op.84-4
5. 即興曲 op.84-5
6. フーガ op.84-6
7. 喜び op.84-7
8. ノクターン op.84-8
「8つの小品 op.84」収載
この作品集の特徴:
· 各曲が比較的短く、取り組みやすい構成
· 聴きやすいサウンドでの展開
· 多彩な表情を持つ小品群
· フォーレの特徴であるポリフォニック(多声的)な書法が見られる
・フォーレ全集4 (世界音楽全集)
► 3. 筆者おすすめの1曲
夜想曲 第13番 op.119
フォーレ最後のピアノ曲であり、以下の特徴を持つ傑作です:
· 精神的な深さと渋さ、格調の高さが融合
· 明快な古典的形式による構成
· コラール風の美しいポリフォニーから劇的な中間部への展開
· 約7~8分という、発表会に最適な演奏時間
「夜想曲 第13番 op.119」収載
・フォーレ全集1〈新装版〉 (世界音楽全集)
► まとめ
フォーレのピアノ曲は、一見すると取り付きにくさを感じるかもしれません。
しかし、まずは聴くことから始め、自分に合った作品を見つけることで、
その深い音楽世界を楽しむことができます。
コメント