【ピアノ】フォーレのおすすめピアノ曲:3つの視点からの紹介
► はじめに
フランスの作曲家たちは数多くの魅力的な作品を残してきました。ドビュッシーやラヴェルの作品については広く知られているものの、フォーレのピアノ曲となると「一曲も知らない」という方が意外に多いようです。
本記事では、「これからフォーレのピアノ曲に取り組んでみたい」という方へ向けて、3つの異なる視点から魅力的な楽曲を紹介します。
フォーレの作品の多くは、相応の難易度を有しています。そのため、まずは「聴いてみる」というアプローチが有効でしょう。実際の音に触れ、心に響く作品を見つけてから取り組むのが望ましい順序です。
► フォーレのおすすめピアノ曲
‣ 1. フォーレの代表的なピアノ曲
演奏頻度の特に高い作品として、以下の3曲が挙げられます:
夜想曲 第6番 Op.63 作曲年:1894年 演奏時間:約8分
・「傑作」との評価が定着した名曲
・バラの香りが漂うような繊細な美しさが特徴
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
舟歌 第4番 Op.44 作曲年:1886年 演奏時間:約4分
・TV番組「スーパーピアノレッスン フランス音楽の光彩」での紹介を機に注目度が上昇
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
主題と変奏 Op.73 作曲年:1895年 演奏時間:約18分
・印象深い古典的な趣の主題と11の変奏からなる、大規模な変奏曲
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
いずれも中上級~上級者向け(最低でもツェルニー40番修了程度〜)の作品であり、じっくりと時間をかけた取り組みが必要です。
【楽譜について】
原典版以外では、春秋社の楽譜が最適な選択肢となるでしょう。フランス音楽の演奏に定評のある藤井一興氏による編集・校訂・運指が特徴的です。
「夜想曲 第6番 Op.63」収載
・フォーレ全集1〈新装版〉 (世界音楽全集)
「舟歌 第4番 Op.44」収載
・フォーレ全集2 (世界音楽全集 ピアノ篇 新校訂版)
「主題と変奏 Op.73」収載
・フォーレ全集3〈新装版〉 (世界音楽全集)
‣ 2. 比較的取り組みやすい作品
初めてフォーレに挑戦する方には、以下の作品がおすすめです。
「8つの小品 Op.84」 異なる時期に作曲したものを統合
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、第1曲 曲頭)
以下の8曲で構成されています:
1. カプリッチョ Op.84-1
2. 幻想曲 Op.84-2
3. フーガ Op.84-3
4. アダージェット Op.84-4
5. 即興曲 Op.84-5
6. フーガ Op.84-6
7. 喜び Op.84-7
8. ノクターン Op.84-8
演奏時間:約20分(全曲演奏時)
この小品集の特徴:
・各曲が比較的短く、取り組みやすい構成
・ツェルニー40番入門程度から挑戦できる
・聴きやすいサウンドでの展開
・多彩な表情を持つ小品群
・フォーレの特徴であるポリフォニック(多声的)な書法が見られる
【楽譜について】
「8つの小品 Op.84」収載
・フォーレ全集4 (世界音楽全集)
‣ 3. 筆者おすすめの1曲
夜想曲 第13番 Op.119 作曲年:1921年 演奏時間:約7分
譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)
フォーレ最後のピアノ曲であり、以下の特徴を持つ傑作です:
・精神的な深さと渋さ、格調の高さが融合
・明快な古典的形式による構成
・コラール風の美しいポリフォニーから劇的な中間部への展開
・約7~8分という、発表会に最適な演奏時間
・中上級~上級者向け(最低でもツェルニー40番修了程度〜)の作品
【楽譜について】
「夜想曲 第13番 Op.119」収載
・フォーレ全集1〈新装版〉 (世界音楽全集)
► 作品比較表
作品名 | 作曲年 | 形式・構成 | 演奏時間 | 難易度 | 特徴・推奨レベル |
---|---|---|---|---|---|
夜想曲 第6番
Op.63 |
1894年 | 夜想曲 | 約8分 | ツェルニー40番修了程度~ | 「傑作」との評価が定着した名曲 バラの香りが漂うような繊細な美しさ |
舟歌 第4番
Op.44 |
1886年 | 舟歌 | 約4分 | ツェルニー40番修了程度~ | TV番組「スーパーピアノレッスン」で注目度上昇 短く取り組みやすい |
主題と変奏
Op.73 |
1895年 | 主題+11の変奏 | 約18分 | ツェルニー40番修了程度~ | 印象深い古典的な趣の主題 大規模な変奏曲 |
8つの小品
Op.84 |
異時期に作曲したものを統合 | 8曲の小品集 | 約20分 (全曲演奏時) |
ツェルニー40番入門程度~ | フォーレ入門におすすめ 各曲が短く取り組みやすい 多彩な表情を持つ小品群 |
夜想曲 第13番
Op.119 |
1921年 | 夜想曲 (フォーレ最後のピアノ曲) |
約7分 | ツェルニー40番修了程度~ | 精神的な深さと格調の高さが融合 明快な古典的形式 発表会に最適な演奏時間 筆者おすすめの傑作 |
► 終わりに
フォーレのピアノ曲は、一見すると取り付きにくさを感じるかもしれません。しかし、まずは聴くことから始め、自分に合った作品を見つけることで、その深い音楽世界を楽しむことができます。
► 関連コンテンツ
著者の電子書籍シリーズ
・徹底分析シリーズ(楽曲構造・音楽理論)
Amazon著者ページはこちら
・SNS/問い合わせ
X(Twitter)はこちら
コメント