■高速のテンポで「プラルトリラー」を入れる荒技
♬ プラルトリラーの難しさと慣例
高速のテンポの楽曲で「プラルトリラー」を入れるのは
かなり難しいですよね。
例えば、次のような場合。
譜例(PD作品、Finaleで作成、55小節目)
クーラントは、舞曲の特色として
「3拍子系でテンポは極めて速い」
というのが特徴です。
したがって、
譜例の箇所を演奏しようと思ったら、かなり難しい。
それに、
「この時代の楽曲の装飾音符は基本的に拍の前には出さない」
これが慣例です。
さて、どうすればいいのでしょうか。
♬ 荒技的テクニックとは?
高速のテンポで「プラルトリラー」を入れる
とっておきの荒技的テクニックとは、
「装飾音を同時に打鍵してしまう」
という方法です。
譜例を参照してください。
「え?それって反則じゃないの?」
と思いませんでしたか?
筆者もはじめて学んだときにはそう思いました。
ただ、
これは高速のテンポの中でおこなうと
プラルトリラーをしているように聴こえるのです。
もちろん、
「 “高速のテンポ” で、なおかつ ”短い音価” の場合のみ有効」
ということには注意しましょう。
ゆっくりのテンポでやってしまったらバレバレです。
♬ 反則に聴こえさせないポイント
ひとつポイントがあります。
同時に打鍵している印象を和らげるために、
「上の音のほうをやや控えめに弾く」
ということが必須。
譜例の箇所の場合は、
Es音よりもF音の方が控えめになるようにバランスをコントロールします。
そうすると
いっそうプラルトリラーに近づきます。
さらに、
この和音全体を強く弾いてしまうと
つぶれたように聴こえてしまうので気をつけましょう。
♬ 終わりに
J.S.バッハ「パルティータ第1番 クーラント」を例にあげましたが、
テンポが速い楽曲であれば、他の楽曲にも応用できます。
モーツァルトなどの楽曲でも
プラルトリラーは多く出てきますので、
このテクニックを覚えておいて
こっそり使うといいでしょう。
荒技的ですが、反則ではありません。
以下の書籍でも
の163小節目の弾き方として
文字解説なしの譜例のみで、提示されています。
◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社
関連記事として、
以下の記事も参考にしてください。
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