【ピアノ】速いパッセージをノンレガートで弾く方法
► はじめに
速いパッセージを弾くとき、常にレガートで弾いていませんか。実は、ノンレガートで弾くことで、曲の表情が劇的に変わることがあります。
本記事では、「ノンレガート」の基本的な考え方と、「速いパッセージをノンレガートで演奏する」ための具体的な練習方法を詳しく解説します。
► 速いパッセージにおけるノンレガート
‣ ノンレガートの表現力
「速いパッセージにおけるノンレガート」は、表現の引き出しとして必ず身につけておきたい重要な奏法です。
「J.S.バッハの8分音符は原則ノンレガートで」という解釈はよく耳にしますが、ノンレガートの活用範囲はそれだけに留まりません。16分音符や32分音符などの細かな音価でも、効果的に使うことができます。
‣ 実例:モーツァルトのソナタから学ぶ
次の16分音符のパッセージを例に見てみましょう。
モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311 (284c) 第3楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、5-8小節)
Allegroのテンポにおけるこのパッセージは、レガートでも美しく演奏できますが、ノンレガートで弾くことで「コロコロとした軽やかな表情」が生まれ、楽曲の性格により適したニュアンスを表現できます。
演奏効果の比較
奏法 | 音響的特徴 | 表現効果 |
---|---|---|
レガート | ウェットなサウンド | より滑らかで、音の粒は見えにくい |
ノンレガート | ドライなサウンド | より軽やかで、音の粒が見えやすい |
スラー記号が明記されていない場合は、楽曲の様式や性格を考慮して、どちらのニュアンスが合っているのかを考えて選択しましょう。
‣ 効果的な練習方法
【速いパッセージをノンレガートにする基本テクニック】
指先に適度な角度をつけ、鍵盤を手前へ軽く引っ掻くような動作で弾く
【段階的練習法】
1. 感覚の習得段階
・目標のパッセージを中程度のテンポでノンレガート練習
・指先の感覚と音色の変化を意識的に記憶する
2. 実践段階
・ステップ1で習得した指先の感覚 “だけ” を意識
・そのうえで、テンポを上げて “普通に” 弾く
【なぜ、2段階が必要なのか】
高速演奏では物理的に指先での音の切り離しが困難になるため、事前に身体に覚え込ませた感覚に頼る必要があります。この感覚的な記憶が、速いテンポでのノンレガート演奏を可能にします。
‣ 上達のための重要ポイント
1. 軽さの意識
特に速いパッセージでは、ノンレガートと「軽さ」は表裏一体です。 演奏中は常に「軽さ」を意識しましょう。
2. 継続練習による感覚の定着
練習を重ねることで、どのような指先の感覚でパラパラと弾けばノンレガートになるのかが自然と身についていきます。
よくある問題と解決策
問題 | 原因 | 解決策 |
---|---|---|
音が不揃いになる | 基本的な感覚が未習得 | 中程度のテンポで、丁寧に感覚を身につける |
速くなると音が重くなる | 手首・腕に余分な力 | 指先の感覚に集中し、手前へ引っ掻く感覚を忘れないようにする |
弾きにくさが抜けない | 運指が不適切 | ずっと弾きにくさを感じる場合は、運指を再検討する |
► 終わりに
ノンレガートは、ピアノ演奏における重要な技法の一つです。特に速いパッセージにおいて効果的に活用することで、楽曲により適した表情を与えることができます。
本記事の内容を参考に、この技法を確実に習得しておきましょう。
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