楽曲分析の視点から、作曲家の創造プロセスを解き明かし、音楽をより深く理解する方法をご紹介します。
初中級者向けの楽曲分析の新しい視点が見つかります。
楽曲分析を進める中で、時として「なぜここにこのメロディやリズムが?」と首をかしげたくなる瞬間に遭遇します。
一見唐突に現れる音楽的要素に、違和感を覚えることは珍しくありません。
しかし、優れた作曲家の作品において、これらの「予期せぬ要素」は偶発的なものではありません。
むしろ、その後の展開における重要な伏線として機能することがほとんどです。
作曲のプロセスには、大きく分けて二つのアプローチがあります:
・全体構想を緻密に練り上げてから執筆に移る方法
・対話式で素材を育てて作品を有機的に発展させていく方法
特に後者のアプローチでは、作曲家は提示した音楽的素材との継続的な対話を通じて、作品を進化させていきます。
これは文学における創作プロセスと似ています。
小説を読んでいると、いきなり訳の分からないキャラクターが出てくることもありますが、
あれは、必ずしも最終的な役割まで見通されているキャラクターというわけではなく、
一回出した後に、小説を書き進めるにしたがって育てていくケースも多いそう。
作家自身がまだよく分からないままそのキャラクターを置くということ。
作曲でもこれと似た制作方法はよくとられます。
このような創作の進め方の理解は、楽曲分析において重要な視点となります。
一見すると唐突に思える音楽的要素に遭遇したとき、それを「作曲家の気まぐれ」として片付けるのではなく、
後の展開における意味的な繋がりを探る糸口として捉えることが出来ます。
その関連性は、時としてはっきりと、また時として上手く隠された形で現れるので、
この発見こそが、楽曲分析の醍醐味の一つと言えるでしょう。
作りながら育てていく方式があるということを頭へ置いておき、
訳の分からない素材が出てきたときに、その後を楽しみに分析する心を持ちましょう。
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