【ピアノ】失敗しない、楽器演奏可能物件の選び方:完全ガイド

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【ピアノ】失敗しない、楽器演奏可能物件の選び方:完全ガイド

► はじめに

 

・防音マンション・楽器演奏可能物件の選び方が分からない
・実際の音漏れはどの程度なのか
・楽器演奏専用物件と楽器可物件の違いは?

このような疑問をお持ちの方のために、様々な物件に住んできた筆者の経験をシェアします。趣味でピアノを楽しむ方から、音楽を専門的に学ぶ方にまで、実践的な情報をお届けします。

 

10度の引越し経験:

・音楽大学および大学院在学中:音大生用防音マンション、楽器演奏専用マンション
・卒業・修了後:楽器演奏専用マンション
・その他:楽器相談可マンション、楽器演奏不可マンション(事務所利用)など

 

► 防音マンションの3つのタイプ

‣ 1. 音大生用防音マンション

 

特徴と入居条件

・音楽大学の学生限定
・女性限定物件も多数(防犯面への配慮)
・防音設備が充実
・管理体制が整っている

 

楽器の制限

・声楽・ドラムは使用不可の物件が多い
・楽器ごとの使用可否を事前確認

 

防音性能の目安

24時間演奏可能物件:

・深夜の演奏でも他室にほぼ音漏れなし
・高額だが最も確実な練習環境

時間制限のある物件:

・隣室や上下階からある程度の音が聴こえる
・練習可能時間内であれば問題なし

 

費用面での特徴

・敷金・礼金:各2ヶ月の物件も多数
・家賃:一般物件より20-30%増し
・防音設備維持費が別途必要な場合あり

 

 

学生だけが入居できる「音大生用防音マンション」には「女性限定」の物件が多い傾向にあります。

音楽大学の学生のうち作曲科や指揮科などは例外ですが、それ以外の演奏科は女性の割合の方が圧倒的ですし、物件として女性限定になっていた方が防犯の面でも安心できるのは普通の考え方です。

もちろん男性が入居できる物件であっても、「音大生用防音マンション」とうたっている物件の場合、防犯の面ではしっかりしているところが多い印象です。

 

音漏れに関しては、「24時間演奏可能物件」の場合は、真夜中にガンガン弾いても他の部屋にはほとんど聴こえない造りになっています。

一方、「〜23:00」などと時間制限がある物件の場合は、隣室はもちろん他の階からの音も聴こえてくるケースがほとんど。しかし、制限時間の中でやっているので、みんなそれは当然のことと把握していてクレームになることはまずありません。

「10:00〜20:00」など、時間制限がかなり狭く設定されている物件は、物件自体の防音の性能がそれほど良くないケースが大半です。もちろん、趣味で演奏するのであれば20:00までに練習を済ませればいいと思うかもしれませんが、防音の性能がそれほど良くなければ、それだけ自分の部屋にも相手の音が大きく聴こえてきます。

このあたりは、内見時にチェックをしたり、担当者に詳しくヒアリングをする必要があるでしょう。

 

よく勘違いされているのですが、楽器演奏ができるマンションに入るということは、周りの住人も楽器を演奏する方ばかりだということ。楽器演奏不可の物件の方が、静かさで言ったら圧倒的に静かです。

趣味の方で本当に静かな環境を求める目的で防音マンションに入居するのであれば、それは「24時間演奏可能物件」に入るしかありません。

 

ちなみに、どの楽器を演奏していいのかも物件によって決まりがあります。

「声楽」「ドラム」あたりは音がよく通るからかNGリストに挙がっていることが多いので、物件資料をよく確認する必要があります。

 

‣ 2. 楽器演奏専用マンション

 

基本的な条件

・学生以外も入居可能
・防音設備は物件によりけり
・時間制限がある場合が多い

 

物件選びのポイント

・鉄筋コンクリート造を選ぶ(木造は避ける)
・ワンルームは非推奨(防音性能が低下)
・一人で入居する場合、1K以上の間取りを推奨
・可能であれば角部屋を選択

 

 

「音大生用防音マンション」と共通する点もありますが、こちらは、いわゆる「学生以外も入れる物件」のことを指します。

 

「鉄筋コンクリート造」の物件を選ぶことがポイント(先ほどの「音大生用防音マンション」はそのほとんどが「鉄筋コンクリート造」です)。

まれに「木造」もありますが、音を出して生の楽器を練習したいのであれば選ばない方が得策でしょう。木造だと、楽器の音どころか生活音まで聴こえてくるからです。

 

それから、一人で入居する部屋の場合は「ワンルーム」は避けましょう。

ワンルームでは、玄関と居室(ピアノを練習する部屋)の間に扉が無いので、練習音が共用スペースまで完全に漏れてしまいます。練習時間が決まっていれば居住者全員がお構い無しでガンガン演奏しますが、ワンルームだとそれだけ相手の音も聴こえてくるのです。自分の音をよく聴いて練習することができません。

 

物件名は書きませんが、東武東上線沿いにある某物件に:

・楽器専用アパート
・木造
・ワンルーム
・練習時間は相談

というものがあります。

グランドピアノが弾けるのだろうかと思って、関連会社に伺ってみたことがあります。そうしたら、「グランドピアノはね、はいるのであれば入れてもいいですよ」とのこと。つまり、ピアノを弾く人は普段入らないということです。音が大きくないクラシックギターなどを演奏する住人はいるとのことでした。

全員が本格的にピアノを弾くわけではありませんし、全員がいい条件の物件に入れるわけではありません。みんなそれぞれ、立地環境や金銭的な事情と相談しながら物件を選んでいるのはよく分かります。

しかし、あえてこのような物件を選ぶのには「待って」と声をかけたくなります。

 

最低限の部分をまとめると:

・理想は「鉄筋コンクリート造」かつ「居室と玄関が扉で区切られているタイプ」の物件
・「角部屋」が取れればなお良し(隣人が居ない側の壁にピアノをつければ、練習に集中可能)

 

音出し制限時間などについての注意点は、「音大生用防音マンション」と同様です。

 

‣ 3. 楽器(相談)可マンション

 

特徴

・防音構造は基本的に無し
・一般のマンション・アパートと同等の構造
・料金は比較的リーズナブル

 

注意点

・練習時間に厳しい制限あり
・近隣からの音が聞こえやすい
・毎日の本格的な練習には不向き

 

 

このタイプの物件は、防音構造には一切なっていないことが大半。楽器好きが集まっていたり、子供のお稽古で短時間のピアノの音出しが必要な家族などが入居しています。

もちろん、上記の専用マンションよりもリーズナブルですが、毎日しっかりと練習したいのであればおすすめできません。

一つのチェックポイントとしては、練習時間の制限時間が決まっているかどうか。もし決まってさえいれば、その時間中なら文句は言われないということであり、生のピアノで音を出すことはできます。

その代わり周りの音もかなり聴こえてくるので、それだけは覚悟してから入居しましょう。

 

► 物件選びの主なチェックポイント

‣ 練習時間の確認

 

・時間制限の有無
・制限時間の長さ
・休日の規定
・早朝・深夜練習の可否

 

‣ 音漏れチェック

 

・内見時に詳しくヒアリング
・上下階・隣室の音の聞こえ方
・共用スペースへの音漏れ

 

► まとめ:失敗しない物件選びのために

 

・予算と必要な練習環境を明確にする
・物件タイプごとの特徴を理解する
・内見時に必ず詳しくヒアリングをする
・契約前に練習制限を詳しく確認する
・引越し費用(楽器運搬費含む)も考慮する

防音マンションを含め、楽器演奏可能物件選びは、練習環境を左右する重要な決断です。この記事の情報を参考に、自身に最適な物件を見つけてください。

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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