【ピアノ】シューベルト「音楽に寄せて(An die Musik)」:ピアノソロ編曲楽譜提供

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【ピアノ】シューベルト「音楽に寄せて(An die Musik)」:ピアノソロ編曲楽譜提供

► はじめに:本記事の趣旨

 

本記事では、シューベルト作曲の名曲歌曲「音楽に寄せて(An die Musik)D.547 Op.88-4」を、ツェルニー30番入門程度程度の難易度でピアノソロにアレンジした楽譜を提供します。

筆者自身による編曲で、演奏解説と参考音源も用意しました。ピアノ編曲に挑戦したい方の参考資料として、また純粋にこの楽曲を弾いてみたい学習者にも適しています。

シンプルな音数ながら、美しく響くよう丁寧に音を編んでいるので、ぜひ挑戦してみてください。

想定演奏レベル:ツェルニー30番入門程度
演奏時間:約1分30秒(リピートをしない場合)

 

►「音楽に寄せて(An die Musik)」について

 

1. 基本情報と成立背景

シューベルトが20歳の時(1817年)に作曲されました。

作詞:フランツ・フォン・ショーバー(Franz von Schober、シューベルトの親友)
編成:独唱とピアノ
形式:有節歌曲(複数の節が同じ旋律で繰り返される)

当時、シューベルトは経済的に苦しく、自らの才能への不安も抱えていました。そんな中で、自分を救い、慰めてくれる「音楽」そのものへの感謝を歌ったこの詩に深く共鳴し、この曲を書いたと言われています。

 

2. この曲の「精神性」

この曲では、簡潔に言うと「芸術(音楽)への心からの感謝」を歌っています。

多くの著名な歌手(ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウやエリー・アーメリングなど)が、自身のコンサートの最後や、あるいは引退公演のアンコールとしてこの曲を選んできました。音楽家が自らの人生を振り返り、「音楽がそばにいてくれて良かった」と語りかける、祈りのような作品です。

 

3. ジェラルド・ムーアによるピアノソロ

20世紀最高の伴奏者の一人と称えられるジェラルド・ムーア(Gerald Moore, 1899–1987)は、1967年2月20日にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで行われた自身の引退記念コンサート(Farewell Concert)の最後に、この作品を、自ら編曲したピアノソロで演奏しました。

本編曲も、ムーアのこの編曲から影響を受けています。「原曲の伴奏を基に歌のメロディを添えたシンプルな編曲」の良さを感じ、その方向性で編曲したものです。

 

► 楽譜と参考音源

‣ 楽譜

 

以下、編曲楽譜を提供します。

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、楽曲全体)

シューベルト「音楽に寄せて(An die Musik)」ピアノソロ編曲楽譜全体(ツェルニー30番入門程度)

PDF版ダウンロード

より鮮明な楽譜が必要な方は、こちらからPDFファイルをダウンロードできます。

 

‣ 音源

 

上記楽譜に基づいた演奏音源です。表情付けなどの参考にしてください。

An die Musik (Schubert) – Piano Solo (Sheet Music) / 音楽に寄せて(シューベルト:初中級ピアノアレンジ)

An die Musik (Schubert) – Piano Solo / 音楽に寄せて(シューベルト:ピアノソロ)

 

► この編曲の活用例

 

初中級レパートリー:発表会などの演奏曲として(他の歌曲ピアノ編曲との組み合わせもおすすめ)
編曲学習の教材:シンプルな編曲の参考資料として
歌曲コンサートの間奏曲に:歌のコンサートで歌手を休ませる、プログラムの間に弾くピアノソロとして
BGM:リラックスした雰囲気の鑑賞用音楽として

 

► 演奏ポイント

 

アゴーギクについて:

・「どこでどうやって音楽を揺らそうか」と考え過ぎない
・下記のように、フレーズを改める箇所で少し時間を使ったり、テヌートの音などを大切に表現する
・そうすることで、勝手に音楽に揺らぎが生まれる

 

‣ 前奏部分

 

テンポ設定:

・原曲では「mäßig(中庸の速さで)」と指定されており、それを編曲でも残した
・これは「Moderatoと同じくらいの速さ」と解釈されることが多い
・ただし、ピアノソロで演奏する場合は、少しテンポを抑えめにしっとりと弾くのも一案

 

前奏部分は、原曲歌曲の伴奏部分をそのまま使用しています。

 

曲頭から出てくる8分音符による刻み:

・和声の持続を、減衰楽器であるピアノに適した書法へ翻訳しただけ
・曲頭に限らず、1拍ずつ和音を伸ばして弾いてみることで、和声の響きを把握する

・縦に刻むと音楽が縦割りになってしまう
・音楽を横へ引っ張っていくイメージを持つ
・鍵盤のすぐ近くから押し込むように打鍵する

 

左手のメロディ:

・1小節目から左手にメロディが出てくる
・右手の刻みよりも聴こえるようにバランスをとる

 

‣ 3-18小節

 

3小節目の入り:

・3小節1拍目はフレーズ終わりの音なので、大きくならないようにおさめる
・1拍目表に少しだけ留まり(時間を使う)、1拍目裏から新たなフレーズを作る

 

呼応の低音:

・4小節目の低音の動きは、直前のメロディの呼応
・メロディよりも大きくなると不自然だが、きちんと拾ってあげる
・8分音符の刻みよりは聴こえるバランスで

 

つなぎ部分:

・10小節目は、原曲では歌詞のない「つなぎ部分」
・この後に大きめの表現が待っているため、このつなぎ部分では極端な表現をつけずに通り過ぎる

 

編曲で付け加えたテヌートの意味

・10小節目以降のメロディにテヌートが書かれた部分は、丁寧に歌ってほしい意図

 

音遣いの些細な変奏:

・10-11小節の左手と12-13小節の左手の違いをよく感じて演奏する
・原曲と全く同じ音遣いを採用している

 

クライマックスの表現:

・16小節目の後半は、クライマックス
・ここへ向かうために、15小節目の頭は抑えておく
・スラーを参考に、16小節目で留まらずに一息でワンフレーズ歌う

 

‣ エンディング部分

 

エンディング部分も、原曲歌曲の伴奏部分をそのまま使用しています。

 

エンディング部分:

・19小節1拍目表に少しだけ留まり(時間を使う)、1拍目裏から新たなフレーズを作る
・19小節目では音楽の方向性がクレッシェンドで示されている
・したがって、fp へ入るときにはゆっくりにせず、「入ってから」少し時間を使う
・20-21小節は左手もウタになっている

 

► この楽譜について

 

この楽譜・音源・解説はすべて無料でお使いいただけます。

もし価値を感じていただけた場合は、noteでのサポート(任意)をいただけますと幸いです。サポートは、今後の創作活動や音楽教育コンテンツの制作に活用させていただきます。

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► 終わりに

 

この編曲が、ピアノ学習や編曲学習の参考になれば幸いです。

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