【ピアノ】ラヴェルの弟子が語る「ラヴェルのピアノ曲」:演奏解釈の決定版

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【ピアノ】ラヴェルの弟子が語る「ラヴェルのピアノ曲」:演奏解釈の決定版

► はじめに

 

ラヴェルに直接師事したピアニスト、ヴラド・ペルルミュテールによる貴重な証言をまとめた書籍があります。

「ラヴェルのピアノ曲」 著 : エレーヌ・ジュルダン・モランジュ、ヴラド・ペルルミュテール  訳 : 前川 幸子 / 音楽之友社

本書は、ラヴェルの演奏解釈において最も信頼できる資料の一つとして、多くのピアニストに支持されています。

 

► 著者について

 

本書の著者の一人、ヴラド・ペルルミュテールは、ラヴェルから直接指導を受けた数少ないピアニストの一人です。彼の校訂によるラヴェルの楽譜(音楽之友社)は、その確かな解釈で定評があります。

もう一人の著者、エレーヌ・ジュルダン・モランジュは、ラヴェルと親交の深かったヴァイオリニスト。

 

二人の対談形式で進められる本書は、ラヴェル本人から受け継いだ知識が惜しみなく語られています。

 

► 本書の特徴

‣ 1. 各曲の詳細な演奏解釈

 

ラヴェルが生きていた頃に弟子のペルルミュテールへ伝えた内容を、各ピアノ曲を順に話題に出して語られていきます。

例えば、次のように。

(以下、抜粋  対談Ⅱ ソナチネ より 第1楽章の話題)
ラヴェルが強く望んでいたのは、第2テーマにある16分音符を、とくに正確に弾くことでした。
それに8分音符は表情をつけてはいけません。
もし表情をつけると柔らかくなって、
ラヴェルが望んでいたリズムをなくしてしまいます。
(抜粋終わり)

 

どこのことを言っているのかが分かる具体的な譜例も載っているので、詳細は書籍で学習して欲しいと思います。

 

‣ 2. ラヴェル本人の柔軟な姿勢

 

几帳面な性格で知られるラヴェルですが、本書では意外な一面も垣間見えます。例えば、

「楽譜にはあのように書いたけど、少し変えてこうやってみて」

などと、その瞬間の感覚で自作品を柔軟に直しているエピソードも書かれているのです。これは、作曲家自身が楽譜を越えた音楽表現を追求していたことを示す貴重な証言といえるでしょう。

 

‣ 3. ペルルミュテール自身による演奏アドバイスも

 

・ここのアクセントは圧す力でつけるべき
・ここは1小節1拍にとって速く弾く

などといったように、ペルルミュテールがピアニストとして自身の意見でラヴェルの作品の演奏法を語っている部分からも得られるものが多くあります。

 

► 対象読者

 

本書は特に以下の方におすすめです:

・ラヴェルの作品を本格的に学習したい方
・音楽大学生、音楽院生
・ピアノ教師

 

► 本書の価値

 

全101ページというコンパクトな分量ながら、内容は非常に濃密。

対談形式で読みやすく、かつ実践的な演奏のヒントが随所に散りばめられています。特に「ラヴェル本人から直接伝えられた演奏解釈」は貴重なものです。

 

► まとめ

 

書籍「ラヴェルのピアノ曲」は、その信頼性の高さ、具体的な演奏指導、読みやすい構成により、ラヴェル作品を学ぶピアノ弾きにとって必携の一冊と言えます。

作曲家本人の意図を知る貴重な資料として、演奏研究の基礎文献となることでしょう。

 

・ラヴェルのピアノ曲 著 : エレーヌ・ジュルダン・モランジュ、ヴラド・ペルルミュテール 訳 : 前川 幸子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

関連内容として、以下の記事も参考にしてください。

【ピアノ】ラヴェルを学ぶための決定版ガイド:ペルルミュテール校訂版の魅力

 


 

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