【ピアノ】装飾音のはじめの音を突かないために:フレーズの途中の細かい動きに注意
► はじめに
ピアノを演奏していると、フレーズの冒頭ではなく、途中でふいに細かい動きが出てくる場面があります。その多くは装飾音で、この装飾音の「入り」の部分には、「強く弾いてしまいがち」という共通した問題点が見受けられます。
本記事では、具体的な作品を例に取り上げながら、装飾音の書き方別(小音符・大音符・tr記号)に、それぞれの注意点を解説します。意識するだけで改善に向かうので、具体例でパターンを学んでおきましょう。
► 具体例:装飾音の書き方別
‣ ① 小音符で書き譜にされた装飾音
モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311 (284c) 第3楽章」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、21-24小節)

細かい動きからフレーズが始まっているのではなく、フレーズの途中でヒャラっと出てくる音群を演奏するときの注意点は:
・細かな音群の一番はじめの音をぶつけない
・細かい動きのはじめの音が、前の音と無関係にならない
「ぶつける」とは、装飾音の最初の音だけが不自然に強くなり、前後の流れから浮いて聴こえてしまう状態を指します。とってつけたように聴こえてしまうのが問題となります。
また、伸びている音をよく聴いておき、その響きの音色と離れすぎないように意識しながら装飾音を始めるようにしましょう。フレーズを途切れさせないためにも、装飾音のはじめの音をその直前の音の「仲間」にしてあげることが大切です。
この楽曲における演奏解釈をさらに学びたい方は、【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ニ長調 K.311 全楽章」演奏完全ガイド を参考にしてください。
‣ ② 大きな音符で書き譜にされた装飾音
モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457 第1楽章」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、23-26小節)

大きな音符で書かれた装飾音(ターンなど)でも、注意点は同様です。演奏に一種の苦労が伴うため、装飾音のはじめの音にアクセントがついてしまいがちです。
しかし、あくまでもメロディが装飾されているだけだと考えてください。装飾音は流れを遮るものではなく、なめらかに彩るためのものです。はじめの音を突かないように注意しましょう。
この楽曲のより詳しい演奏ポイントは、【ピアノ】モーツァルト「ピアノソナタ ハ短調 K.457 全楽章」演奏完全ガイド で解説しています。
‣ ③ 小音符・大音符の両方が出てくる例
モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.330 第3楽章」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、21-24小節)

21小節目には小音符で書かれた装飾音、24小節目には大きな音符で書かれた装飾音が登場します。それぞれ、これまでと同様の注意点を意識して演奏しましょう。
‣ ④ tr記号で書かれた装飾音
モーツァルト「ピアノソナタ ハ長調 K.330 第1楽章」
譜例(PD楽曲、浄書ソフトで作成、7-8小節)

trで書かれたトリルも同様です。はじめの音をぶつけてしまわないよう、その直前の付点4分音符(G音)の響きをよく聴き続けながら、つながりを意識して入るようにしましょう。
► 終わりに
装飾音のはじめの音に関する注意点を、書き方(小音符・大音符・tr記号)ごとに見てきました。いずれにも共通しているのは:
・装飾音のはじめの音を、アクセントをつけずやわらかく入れること
・その直前の音の響きを聴き続け、音色のつながりを意識すること
装飾音はあくまでもメロディの「飾り」です。フレーズの流れを壊さず、さりげなく自然に溶け込むように演奏することを目指しましょう。音を間違えているわけではないので、自分ではなかなか気づきにくいものなのです。意識するだけで改善に向かうので、注意してみてください。
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