■楽曲で見られるクライマックスのパターン 5選
♬ ひとつのクライマックスがあってそこへ向かっていく
これは、かなり多くのオーソドックスな楽曲でとられているやり方です。
というのも、
楽曲を聴いた印象として分かりやすく、
かつ、バランスよく聴こえるからです。
映画でも、
「ラストに一番感動的なシーンを持ってきて盛り上げる」
などといった演出は定番ですよね。
♬ 複数のクライマックスがあってそれらを並置されている
先ほどの例と異なるのは、
「1曲の中でクライマックスが複数回出てくる」
ということです。
それらを並置することで楽曲を構成しています。
例えば、
などが該当楽曲です。
その他、あらゆる時代の作品に出てきますが
特に「ロンド形式」などの繰り返しが多い作品では比較的見られます。
ちなみに、
ラヴェル「ソナチネ 嬰ヘ短調 M.40 第3楽章」
も、楽式としてはロンド形式です。
演奏面では、
「それらのクライマックス同士のバランスを考える」
ということがポイントとなってきます。
「全部同じくらい盛り上げてしまってもいいのか」
それとも、
「クライマックスの中での優先順位を決めるのか」
など。
関連記事:【ピアノ】誰でもできる「クライマックスの活かし方」
♬ クライマックスはないけれど、クライマックス的な強音が突然発生する
これは、ロマン派以前はそれほど多くなかった構造です。
例えば、
ドビュッシー「前奏曲集 第1集 より 野を渡る風」
などが該当楽曲です。
そのほか、特に近現代の作品で見られる印象です。
ショパン「ピアノソナタ第2番 変ロ短調 作品35 第4楽章」は、
一番最後の一発を予感・期待させるような構造にはなっていないので、
それを「クライマックス」と捉えるか
「クライマックス的な強音」と捉えるかは
どちらの解釈でもいけそうですね。
♬ 曲頭にクライマックス的要素が来て、収束していく
これは、
現代音楽では何作品か見られますが
20世紀以前の作品にはあまり見られない印象です。
オーソドックスな音楽の構造とは逆を行っているからです。
実験的な作品が増えてきてからの方が
多く出てくるようになったのは当然のことです。
♬ クライマックスを作るという構造すら持っていない
これも、主に現代音楽が該当します。
それまでの作品の場合は、
たとえどんなに静かな作品であっても
その中で何かしらの
「小さなクライマックス」
を用意している事が通常でした。
「クライマックスを作るという構造すら持っていない」
というのは、
映画で言うと、
タルコフスキーの作品のようなものです。
ご自身が取り組んでいる作品はどれに当てはまるのか
調べてみましょう。
繰り返しますが、
「クライマックスがどのように出てくるのか」
これを把握しておくことは
「全体のバランス」を考える上でものすごく重要になります。
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