【ピアノ】J.S.バッハ シンフォニア 第13番 BWV799 全運指付き楽譜と練習のコツ

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【ピアノ】J.S.バッハ シンフォニア 第13番 BWV799 全運指付き楽譜と練習のコツ

► はじめに

 

J.S.バッハ「シンフォニア 第13番 BWV799」は、フーガの性格を持った美しい3声の作品です。

本記事では、この楽曲に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。

 

►「全運指」の解説

 

この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。

バッハ シンフォニア 第13番 BWV799 楽譜 1ページ目 全運指付き

バッハ シンフォニア 第13番 BWV799 楽譜 2ページ目 全運指付き

 

運指について重要な注意点

この運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。

プラルトリラーは「上から(補助音から)」入れる運指を書き入れました。ただし、3小節目など、直前に同じ音を弾いている場合は「下から(主音から)」入れる解釈も行われているので、両方を試してみましょう。

 

プラルトリラーとは

プラルトリラーは、上記譜例の3小節目のソプラノなどについている装飾音です。主音と上の補助音を素早く交互に演奏する装飾音です。作品の様式にもよりますが、通常は、以下の2パターンで演奏されます:

パターン1(Doが主音の場合、Do Re Do)

1. 主音から開始
2. 上の補助音へ移る
3. 主音へ戻り終了

パターン2(Doが主音の場合、Re Do Re Do)

1. 上の補助音から開始
2. 主音へ移り、補助音へ戻る
3. 主音で終了

 

► 具体的な練習のヒント

‣ 適切なテンポ設定

 

推奨テンポ設定:

練習開始時:♪= 86-96(正確性と安定性重視)
中間段階:♪= 96-106(表現力の向上期)
目標テンポ:♪= 108(ヘルマン・ケラー提案)

 

なぜ、このテンポが適切なのか:

ヘルマン・ケラーが提案する♪= 108 は、「舞曲的性格を表現できる、技術的にも無理がないテンポ」です。この作品は極端にゆっくりと演奏する学習者が見受けられますが、むしろ、パスピエの性格を活かして前向きなテンポで仕上げるといいでしょう。ケラーは、「快適な歩調で」と解説しています。

 

パスピエとは:

・フランスの舞曲
・3/8拍子または6/8拍子で作られる
・「前進する足」という意味で、速いテンポで演奏される

参考:「楽式論  著:石桁真礼生 / 音楽之友社

 

‣ 演奏上の重要なポイント

· 36小節目から出てくるリズムの演奏注意点

 

譜例(35-40小節)

バッハ シンフォニア 第13番 35-40小節 リズム解説譜例

36小節目から、譜例でカギマークで示した新リズムが出てきます。

このリズムにおける演奏注意点:

・32分音符が前寄りで出てきてしまいがちなので、小節頭の「イチ」の感覚をしっかり持つ
・レッド音符で示した順次進行で動くラインが内包されている
・したがって、これら軸音のバランスをよく聴く
・裏で弾く高い音ばかり強くならないように
・リズムが特徴的なので、まずはメトロノームを使用して正確なタイミングを身に付ける

 

· 弾き直し音符の適切な処理

 

基本的な考え方

同じ音が連続して現れる場合、音楽的文脈に応じて音価を調整する必要があります。楽器の特性上表現できない音価を、演奏者の解釈によって補完することが重要です。

 

譜例(19-24小節)

バッハ シンフォニア 第13番 19-24小節 弾き直し音符の処理例

19小節1拍目のレッド音符で示したE音のケース:

・レッド音符の直後に同音のブルー音符が出てくる
・レッド音符を付点4分音符として表現できないが、代わりに弾き直したブルー音符を指で保持

 

ピアノでバロックや古典派の楽曲を演奏する際、楽譜の指示通りに弾こうとすると左右の手がぶつかってしまい、物理的に演奏困難な箇所に遭遇することがあります。

このような現象が起こる背景には何があるのでしょうか。

音楽史的な観点から説明すると、「元々、二段鍵盤の鍵盤楽器のために作曲された、もしくはそれを使って作曲した」ことが主な要因として挙げられます。このような楽器では各声部を異なる鍵盤で演奏できたため、現在の単一鍵盤ピアノでは演奏技術上の調整や解釈が求められる場面が生じるのです。

 

► 終わりに

 

特に気をつけるべきなのは、テンポ設定でしょう。メランコリックにゆっくりと弾くよりは、パスピエの性格を活かして前向きなテンポで仕上げると楽曲本来の性格を描き出すことができます。

この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の解釈版を参考にしてください。

 

・園田高弘 校訂版 J.S.バッハ シンフォニア BWV787−801

 

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ情報メディア「Piano Hack | 大人のための独学用Webピアノ教室」の運営をしたり、音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。ピアノ音楽の作曲や編曲もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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