ストライド奏法とは?
ストライド奏法は、特にラグタイム音楽で頻繁に使用される左手の伴奏技法です。
その代表的な例として、ジョプリンの名曲「ジ・エンターテイナー」を見てみましょう。
ジョプリン「ジ・エンターテイナー」
譜例1(PD楽曲、Finaleで作成、5-8小節の左手)
この譜例から分かるように、ストライド奏法は「バス音」と「和音(ハーモニー)」を交互に演奏する技法。
この奏法は、まさにジャズバンドのリズムセクションを一台のピアノで再現しているのです。
跳躍の難しさとその克服法
ストライド奏法の最大の課題は、テンポが速くなった時の「跳躍」の処理です。
以下の3つのポイントを意識して練習することで、確実な演奏が可能になります:
1. 距離感の習得
譜例2
裏拍の和音からベース音までの距離を感じながら、ゆっくりとした練習で体得していきましょう。
上記の譜例で示した矢印の動きを意識することが重要です。
2. プリペアの重要性
単なる手の移動ではなく、和音を打鍵した直後から次の音への「準備(プリペア)」を意識します。
実は、ピアノ演奏の多くは、この「準備」の質で決まると言っても過言ではありません。
3. 片手の暗譜による確実性の向上
左手パートを暗譜レベルまで練習することで、両手での演奏がより安定します。
これは跳躍に限らず、難しいパッセージを習得する際の基本となる考え方です。
練習の進め方
・まずはゆっくりしたテンポで、上記のポイントを意識しながら丁寧に練習する
・左手のみで鍵盤を見なくても弾けるレベルまで練習を重ねる
・徐々にテンポを上げていき、本来のテンポでも安定した演奏ができるようにしていく
この段階的なアプローチを通じて、確実な技術の定着を目指しましょう。
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