本記事では、「楽曲分析(アナリーゼ)」として、
「いつの間にか伴奏へ移行するメロディ」という音楽的な仕掛けについて取り上げます。
「いつの間にか伴奏へ移行するメロディ」という音楽的な仕掛けについて取り上げます。
以下の譜例を見てください。
ドビュッシー「前奏曲集 第2巻より 第2曲 枯葉」
譜例(Finaleで作成、17-22小節)
17-18小節目のメロディに注目してください。特に、カギカッコで示した素材が重要です。
この断片が19小節目では一番下の段へ移され、オスティナート(同じパターンの繰り返し)として用いられます。
オスティナートのような「繰り返し」は、音楽的な観点から見ると「主役的な独立性」に欠けます。
つまり、音は動いていても音楽的には「スタティック(静的)」な性質を持つということ。
言い換えれば、この時点ですでに「伴奏的役割への移行」が始まっているんです。
(再掲)
さらに譜例を見ていきましょう。
21小節目では一番上の段に新たなメロディが登場します。
これにより、先ほどまでメロディだった素材は、確かに伴奏へと移行していたことが明確になります。
一般的な手法ではありますが、音楽的な深みを感じさせる演出といえるでしょう。
この構造を理解すれば、演奏においてどちらの動きを際立たせるべきかは明らか。
ドビュッシーの楽曲は多層的であり、必ずしも「メロディ+伴奏」という単純な役割分担になっていない作品も多く見られますが、
ここでは明らかに、新しく出てきたメロディに音楽的な重要性が置かれています。
楽譜を漫然と読み進めるのではなく、
このような楽曲分析的な視点で読み解いていくことが、音楽をより深く理解するための第一歩となります。
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