【ピアノ】「出来ません」というのは「トリッキーにやる」ということ
► はじめに
ピアノ練習や音楽学習において、技術的に困難と感じることや「出来ません」と書かれている指示に出会うことがあります。しかし、「出来ません」というのは「トリッキーにやる」ということであり、この考え方の柔軟さを持っていれば、大抵のことは何とかなります。
► 大抵誰かが諦めている、2つの「出来ません」
‣ 例1:手の運用的に弾けないと感じる部分
ラフマニノフ「音の絵 op.39-5」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、67-69小節)
この上段のようなところは、手の大きな方にとっては「何て事ない」と思うはずですが、筆者を含めて手が大きくない方にとっては、「出来ません」です。しかし、賢く両手で分担してトリッキーに解決することはできます。
l.h. の指示は、筆者が書き込んだものですが、このように両手で分担するのはアリでしょう。ラフマニノフが書き残したスラーの表現をより活かすことにも繋がります。
もう一例見てみましょう。
モーツァルト「ピアノソナタ 変ロ長調 K.281 第1楽章」
譜例(PD楽曲、Finaleで作成、34小節目)
この譜例のところでは、上段の全てを右手で弾こうとすると着地の3度和音が非常に非常につかみにくいと感じるでしょう。「出来ません」で終わらせず、補足したように上段のパッセージの一部をトリッキーに左手でとってあげると、格段に弾きやすくなります。
このケースのように流れの中で一部分を分担するのであれば、音楽的にも問題は生じません。
‣ 例2:楽譜に書けないと感じる部分
楽譜浄書ソフトを使っていると:
・ある表記がどうしても美しく書けなかったり
・上手くプレイバック再生してくれない部分が出てきたり
・「公式では、この処理は出来ません」とされている内容が出てきたり
など、様々な「出来ません」に直面します。しかしこれらは、「別の力業を使えば出来ます」という意味だと考えるといいでしょう。
「楽譜自体が、見せたいように見えればいい」と割り切ると、相当出来ることが増えます。例えば:
・特殊な記号が必要な場合、画像として挿入する
・複雑なリズム記譜は、異なる声部を組み合わせて表現する
・特殊な装飾音は、小さな音符を使って近似表現する
記譜に関してですが、それでもどうしても書けない内容がある場合の解決策があります。記譜自体を諦めるのではなくて、その部分を白紙で印刷して、手書きでお書きなさいな。これも、ある意味、トリッキーな力業です。
► 出来なさそうなことに躓いた時は口に出す
出来なさそうなことに躓いた時は、口に出してみて下さい。大抵は力業で出来るので、誰かが情報を持っています。 SNSを依存性のあるニュースを見ることばかりでなくて、こういったことに活用しましょう。
質問する前に検索機能を使って類似の質問がないか確認することも大切です。それでも解決しない場合は、遠慮なく質問しましょう。「出来ません」と諦めるよりも、「どうすれば出来るか」を問いかけることで、思いがけない解決策に出会えることがあります。
► 終わりに
ピアノ演奏において「出来ません」と感じた時は:
・両手での分担は可能か
・テンポや表現を調整することで対応できるか
・他のピアニストはどう解決しているか調べる
これらのアプローチを常に意識することで、技術的な壁を乗り越え、より多くの曲にチャレンジすることができます。
楽曲中のテクニックに限らず、音楽生活の中で起こるあらゆることを賢くトリッキーに解決してみてください。「出来ません」と諦めるのではなく、「どうすれば出来るか」を考える習慣をつけましょう。
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