【ピアノ】エノキダさんに学ぶ情熱とこだわりの学習法
► はじめに
ピアノを学ぶ過程で、以下のような状況になっていませんか:
・ピアノを好きと言っている割には、練習時間を十分に確保できない
・自分が取り組んでいる楽曲について深く調べることなく演奏している
・学習に対して情熱やこだわりが足りないと感じている
本記事では、漫画「それはエノキダ!」の主人公の徹底したこだわり精神を例にとり、ピアノ学習にどのように熱意と情熱を取り入れられるかを提案します。エノキダさんの極端なこだわりをそのまま真似るのではなく、その根底にある「好きなことへの献身」をピアノ学習に活かす方法を紹介します。
► エノキダさんとは
ここで言うエノキダさんとは、漫画「それはエノキダ!」に出てくる主人公のことです。彼のこだわりは折り紙付きです。例えば:
・高熱が出ているにも関わらず、抜け毛を気にして枕を工作してしまう
・買い物した後に、盗みを疑われないよう、紙袋の隙間全てをテープで塞いでもらう
・キャバクラを研究しようと意気込み、会社で情報誌を広げてしまう
かなり極端でやり過ぎなのですが、実は筆者は、友人にこの主人公に似ていると言われたことがあります。その時に初めてこの漫画を知り、読んで以来、お気に入りの作品になりました。
► エノキダ式こだわりのピアノ学習法
エノキダさんの極端なこだわりをそのままピアノ学習に持ち込むと大変ですが、その根底にある「好きなことに全力を注ぐ姿勢」は学ぶべき点があります。以下では、エノキダさんの精神をピアノ学習に健全に活かす方法を紹介します。
‣ 楽曲理解を追求する
エノキダさんが物事を徹底的に調べるように、最低限自分で演奏する楽曲のことくらいは、深く掘り下げてみましょう:
楽曲の歴史的背景を調査する:
作曲された時代の社会状況や作曲家の人生における位置づけを理解する
楽曲分析を行う:
細かな楽曲分析をして、音楽の「なぜ」を追求する
様々な演奏家の解釈を比較する:
同じ作品の複数の演奏を聴き比べて、アーティキュレーションやテンポ、ダイナミクスの違いを観察する
これでもまだスタートラインです。加えて、「【ピアノ】楽曲分析を深める方法:専門書・マスタークラス・研究論文の活用ガイド」という記事で紹介したような内容で、さらに深掘りしていくといいでしょう。
‣ ピアノや音楽の情報をしつこく集めてみる
筆者自身、エノキダさん程ではありませんが、音楽に関する情報収集にはこだわりを持っています。
例えば、本Webメディアではアマゾンにも置いてないような書籍のレビューをすることがありますが、そういったマニアックな書籍をどうやって手に入れているかというと、ひたすらオークションサイトに張り付いたり、古本市へ足を運んだりしているわけです。国会図書館で閲覧できるものでも、現物を手元に置きたいという思いから探し回ることもあります。
また、本Webメディアは、以下のような内容についてひたすら書いています:
・どうやって、ムリヤリiPadと音楽学習を紐付けるか
・どうやって、音楽書籍を挫折せずに読み通すか
・どうやって、音楽を通して日常生活そのものを幸せにするか
これらは、筆者自身が自分のために試行錯誤した結果をシェアしているわけです。面白がる以外の目標をあまり持たないようにしています。
日頃の学習における情報収集も、エノキダさんほど極端ではなくとも、こだわりと興味を持って集めてみましょう。
‣ 面白がる以外の目標をあまり持たずに続ける
「心で弾くピアノ―音楽による自己発見」 著 : セイモア・バーンスタイン 訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社
という書籍に、以下のような文章があります。
著名な精神科医であるヘレン・ボイゴン博士はかつて私にこう語った。
「どんなものを学習する場合でも、その過程で最も重要なことは、年齢にかかわりなくリラックスして、無邪気な気持ちになることができるかどうかということなのです。」
無邪気な気持ちの子供たちは、いつでも今度は良いことがあると期待している。
できそうだと思い、しばしば本当にそうなるのである。
したがって、われわれが子供たちから学ぶことは、心を閉ざさず無邪気でいれば、自分の内から最大の力を引き出すことができるということである。
(抜粋終わり)
エノキダさんの行動は一見すると無駄に見えますが、彼の原動力の大部分は純粋な興味と情熱です(残りは、神経質な性格からくる空回り)。ピアノ学習においても同様で、面白がる以外の目標をあまり持たずに楽しむ気持ちが、長続きと上達の秘訣と言えるでしょう。見栄や比較やミーハーな気持ちで音楽を雑に扱うのではなく、純粋に音楽そのものを楽しんで、また一歩深く入っていけたような喜びを感じることができると最高です。
・進度や他者との比較よりも、発見の喜びを大切にする
・小さな進歩を祝う
・音楽を通して日常生活が少しでも幸せになっていくことをいちいち喜ぶ
筆者は以前に、住んでいる地域でやっていた古本市へ立ち寄りました。もう絶版になってしまっていてネットショッピングでもなかなか手に入らないヨーゼフ・ルーファーの音楽書を発見。嬉しくてレジへ犬のように走って行ってしまい自分でも驚いたのですが、音楽を好きでいられることを改めて幸せに思いました。
・心で弾くピアノ―音楽による自己発見 著 : セイモア・バーンスタイン 訳 : 佐藤 覚、大津 陽子 / 音楽之友社
► 終わりに
エノキダさんの極端なこだわりをそのまま真似る必要はありませんが、好きなことに対する純粋な探究心は、ピアノ学習において大きな財産となります。技術の向上や曲の習得という目に見える成果だけでなく、音楽を深く理解し楽しむ過程そのものに価値を見出しながらピアノライフを送っていきましょう。
「それはエノキダ!」は本当に面白い漫画なので、是非第1巻だけでも読んでみてください。
・それはエノキダ!(1) (モーニングコミックス)
► 関連コンテンツ
コメント