■モーツァルトのトリルの攻略法
♬ モーツァルトのトリルの入れ方
モーツァルトのトリルは「上から」入れてください。
「下の和声音から始めない」ということ。
モーツァルトの音楽の師は
父親のレオポルド・モーツァルトです。
レオポルド・モーツァルトが書いた
「ヴァイオリン奏法」という本がありますが、
ヴァイオリンの奏法のみならず
トリルの入れ方など、
さまざまなことが書いてあります。
つまり、モーツァルトを勉強するなら、
その音楽教育の師である
レオポルド・モーツァルトの考え方を踏まえたほうが得策
ということです。
当時も必要に応じて奏法を変更することはおこなわれていましたが、
基礎がなかったわけではありませんし、
それは「ヴァイオリン奏法」からも読み取れます。
◉ レオポルトモーツァルト ヴァイオリン奏法 [新訳版]
ちなみに、
フンメルは1828年の書籍の中で
「世の中の人はいまだにトリルを上から入れている」
と書いています。
モーツァルトの生きていた時代よりずっと “後” のことです。
♬ フィリップ・アントルモンによる意見
2005年に放送されていた
「スーパーピアノレッスン モーツァルト編」の中で、
講師の「フィリップ・アントルモン」が
トリルについて生徒へアドヴァイスしました。
「ピアノソナタ ニ長調 K.311 (284c) 第2楽章」の中で、
生徒がきちんと上からトリルを入れましたが、
「下から入れるように」
と言ったのです。
アドヴァイスの意図は
「そのほうが曲の表情に合っているから」
というものでした。
アントルモンのように音楽を知り尽くしているうえで
求める表現のために表情を優先するのは構いません。
一方、
それは基本を知っていることが前提であることは
言うまでもありませんね。
トリルは、なんとなく適当に入れればいいわけではないのです。
当時のテキストが売られています。
◉ NHK スーパーピアノレッスン モーツァルト (2005年4月~7月) (NHKシリーズ)
♬ トリルを本番で失敗しないコツ
バロック〜古典派までの作品におけるトリルは
「必ず自分で奏法譜を書けるようにする」
これが重要。
よくバッハの解釈本などを見ると
トリルの奏法例として
32分音符などの細かい音符で書いてありますよね。
あのような奏法譜を
あなたが取り組んでいる楽曲のトリルでも自身で用意します。
それをせずに闇雲に適当にトリルを入れるだけだと、
毎回入れ方が変わってしまって
本番で失敗します。
ロマン派以降だとアゴーギク自体にさまざまな解釈があり
テンポの揺れも大きく
トリルにも多少の自由度が増しますが、
少なくともバロック〜古典派までの作品におけるトリルは、
「トリルの演奏のやり方を決めておき、毎回それを元に練習する」
これが本番で失敗しないコツです。
最後にポイントをまとめます。
◉ 求める表現のために表情を優先するのは「基本を知っていること」が前提
◉ バロック〜古典派までのトリルは、やり方を決めておいて毎回それを元に練習する
モーツァルトの装飾音について
さらに本格的に学びたいのであれば、
以下の書籍を参考にしてください。
◉ 新版 モーツァルト 演奏法と解釈 著 : エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ 訳 : 堀朋平、西田紘子 監訳 : 今井顕 / 音楽之友社
Amazon著者ページ
https://www.amazon.co.jp/~/e/B0CCSDF4GV
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