【ピアノ】J.S.バッハ インヴェンション 第12番 BWV783 全運指付き楽譜と練習のコツ
► はじめに
本記事では、J.S.バッハ「インヴェンション 第12番 BWV783」に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。
インヴェンション全15曲の中でも演奏難易度が高いこの作品に対して、効果的なアプローチ方法を見ていきましょう。
►「全運指」の解説
この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。
運指について重要な注意点
この運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。
► 具体的な練習のヒント
‣ 適切なテンポ設定
推奨テンポ設定:
練習開始時:♩. = 50-60(正確性と安定性重視)
中間段階:♩. = 60-70(表現力の向上期)
目標テンポ:♩. = 72(ヘルマン・ケラー提案)
なぜ、このテンポが適切なのか:
ヘルマン・ケラーが提案する♩. = 72 は、以下の特徴があります:
・楽曲の躍動感を表現するために必要な速さを確保
・標準的なテンポよりやや速めの設定
・これ以上速くすると装飾音符の正確な演奏が困難になる境界線
‣ 本楽曲でよくある問題点と対策
· Doppelt-Cadence und Mordant の弾き方
この楽曲の「Doppelt-Cadence und Mordant」は、トリルのように演奏されることが多いですが、テンポの快活さもあり、初中級者にはかなり困難です。
そこで、市田儀一郎氏が提案している以下の弾き方を採用するのも良いでしょう。弾きやすさがあり、この方法による演奏も時々耳にします。
譜例(1,3,20小節目)
· ♩♪リズムでの音量バランス
譜例(曲頭)
よくある問題:♩♪のリズムにおける♪の部分が突然大きな音になってしまう
本楽曲では♩♪のリズムが頻繁に出現します。このリズムにおける「♪」の部分で唐突に音量が大きくなってしまう演奏をよく耳にします。前後の装飾音の演奏に意識を奪われがちですが、音量バランスにも注意を払いましょう。
· 一度止まってしまうと復帰が困難
特に曲頭の左手パートなど、音型的に一度運指を間違えると修正が利きにくい作品です。本番で演奏する場合は、以下の対策を講じましょう。
対策方法:
・毎回同じ運指で練習し、混乱を避ける
・各拍の頭、または少なくとも各段の始めから弾き始められるようにしておく
・勢い弾きに任せず、「片手のみでの暗譜チェック」「ゆっくりのテンポでの暗譜チェック」を実施する
► 終わりに
技術的に挑戦的な作品ですが、運指の徹底と段階的な練習によって必ず弾けるようになります。装飾音符の処理や音量バランスに注意を払いながら、焦らずに取り組んでみましょう。
この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の解釈版を参考にしてください。
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