【ピアノ】J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第10番 全運指付き楽譜と練習のコツ
► はじめに
J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第10番 BWV855 ホ短調」は、平均律クラヴィーア曲集全48曲中、唯一2声のフーガを持つ特別な作品として知られています。
本記事では、この楽曲に取り組む方のために、「全運指」を付けた楽譜を提供し、練習のヒントも解説していきます。
►「全運指」の解説
この楽曲はパブリックドメインです。運営者が浄書ソフトウェアで作成した楽譜を使用しています。
運指について重要な注意点
以下の運指は一例です。手の大きさや個人差に合わせて調整してください。また、どのようなアーティキュレーションを付けるのかによっても適切な運指は変わります。お手持ちの楽譜の内容と照らし合わせながら、必要に応じて参考にしてください。
‣ プレリュード
‣ フーガ
► 具体的な練習のヒント
‣ 適切なテンポ設定
ヘルマン・ケラーの提案テンポ(参考値)
プレリュード:
・第一部:♩= 58-63
・第二部(Presto部分):♩= 116-126
フーガ:♩= 116-126
これらのテンポは一つの目安です。楽曲への理解が深まるにつれて、自身の求める表現に合わせて調整してください。
‣ 演奏上の重要なポイント
· プレリュード
譜例(9-12小節)
重要な注意点:
・トリルとともに現れる16分休符(レッドで表示)を守る
・この休符を見落としてトリルに変えてしまいがちなので注意
・1小節目のような装飾音後に休符がないパターンとの弾き分けを明確に
· フーガ
譜例(曲頭)
このフーガは平均律クラヴィーア曲集全曲の中にあって唯一の2声のフーガです。ただし、1-2小節を見て分かるように同じところに停滞して何度も鳴らされるE音と半音階で降りていく音とかあるので、主題そのものがすでに2声的になっていると考えていいでしょう。
テンポ設定の考え方
フーガのテンポについては複数のアプローチがあります:
① プレリュードのPresto部分と同じテンポ設定
② Presto部分よりもややゆるやかなテンポ
③ Presto部分よりもさらに速いテンポ
推奨: プレリュードとフーガの一体感を重視し、①のアプローチを推奨します。
► 推奨参考資料:さらなる学習のために
この作品についてさらなる演奏ヒントが必要な方は、以下の資料を参考にしてください:
バッハ研究の第一人者による重要な資料(一曲あたりの解説は少量):
・バッハのクラヴィーア作品 著 : ヘルマン・ケラー / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
・バッハの平均律クラヴィーア曲集 著 : ヘルマン・ケラー / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
詳細な楽曲分析と演奏法
・バッハ 平均律クラヴィーア 解釈と演奏法 全2巻 著:市田 儀一郎 / 音楽之友社 → 詳しいレビューを読む
演奏解釈に特化した資料
・園田高弘 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻(1) (CD付)

園田高弘 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻(1) (CD付)
推奨記事:
・【ピアノ】はじめての「平均律クラヴィーア曲集」:フーガの学習法
・【ピアノ】フーガの譜読み:効率的なアプローチと実践的なコツ
► 終わりに
本作品は音楽的に非常に学習価値の高い作品です。2声フーガという特殊性を踏まえ、プレリュードとの関連性も意識しながら取り組むことで、より楽曲理解が深まることでしょう。
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