【ピアノ】グリーグ作品の演奏ポイント解説集:譜例付き実践ガイド

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【ピアノ】グリーグ作品の演奏ポイント解説集:譜例付き実践ガイド

► はじめに

 

本記事では、グリーグのピアノ作品における実践的な演奏アドバイスをまとめています。各曲の重要なポイントを、譜例とともに具体的に解説していきます。

この記事は随時更新され、新しい作品や演奏のヒントが追加されていく予定です。

 

► 抒情小品集 第1集 Op.12

‣ アリエッタ Op.12-1

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

グリーグ「アリエッタ Op.12-1」の曲頭の楽譜。G音の同音連打5回とクレッシェンド記号などが示されている。

1〜2小節にかけてのメロディでは、G音が5回連続で「同音連打」されています。音楽的には2小節目冒頭のG音に向かってふくらませていきます。親切にクレッシェンドが書かれていますが、仮に記譜がなかったとしても、このような箇所ではどの音に向かうのかを読み取って表現すべきです。

ここで重要なのは、ウタは必ずしもメロディの流麗さで表現されるとは限らないということです。「メロディ自体は停滞させておいて、ダイナミクスで表現をつける」というのは、それ自体が十分にウタの表現であることを踏まえておきましょう。

 

► 抒情小品集 第3集 Op.43

‣ 春に寄す Op.43-6

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、33-36小節)

グリーグ「春に寄す Op.43-6」の33-36小節の楽譜。縮節技法を示すアクセント記号などが記されている。

カギマークで示したように、33-34小節では「1小節を1等分」する構造ですが、35-36小節では「2小節を3等分」するリズム構造へ変化します。このような技法を「縮節(提示された素材が、音価や拍の長さを縮めながら連結されていくこと)」と言います。

 

ここで縮節が取られていると判断するための変化要素:

・メロディを含めた音遣いのグルーピングの変化
・アクセント記号の位置の変化

 

縮節によって、聴衆の「リズムの感じ方」が変わっていることに着目しましょう。cresc.と共に切迫感を感じさせるための工夫と言えます。したがって、この効果を活かすためには、以下の2点に注意する必要があります。

縮節構造を明確に表現する演奏のポイント:

・アクセントの位置を明確に表現する
・アクセントが書かれているところ以外は強調しないようにする

 

► 抒情小品集 第5集 Op.54

‣ ノクターン Op.54-4

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、20-22小節)

グリーグ「ノクターン Op.54-4」の20-22小節の楽譜。ソフトペダルの踏み込みポイントが示されている。

原曲には21小節目から「ソフトペダルを使う指示(una corda)」が書かれていますが、21小節目の頭ではダンパーペダルを踏み変えるため、2本同時に踏み込むと失敗しやすくなります。

このような箇所では、ソフトペダルを少し早めに踏み込んでおくがポイントです。

20小節目の最後は音楽がおさまっていくので、ソフトペダルの効果で音色が柔らかくなっても問題ありません。したがって、譜例で示したように、20小節目の最後の3つの音でソフトペダルを踏み込むといいでしょう。

 

► 終わりに

 

グリーグの作品には、独特の音楽語法と表現技法が詰まっています。

本記事では、実践的な演奏アプローチを紹介していますが、これらはあくまでも一つの解釈として捉えていただければと思います。

今後も新しい作品や演奏のヒントを追加していく予定ですので、定期的にご確認いただければ幸いです。

 


 

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