【ピアノ】海外の名著・翻訳書の選び方と効果的な活用法
► はじめに
本記事では、ピアノ学習における翻訳書の重要性と、その効果的な活用方法について解説します。
► なぜ、翻訳書が重要なのか
ピアノは西洋音楽の代表的な楽器です。その歴史や奏法、音楽理論の多くはヨーロッパで発展してきました。そのため、海外の著名な音楽家や教育者による知見は、我々学習者にとって非常に貴重な財産となります。
日本では多くの海外の音楽書籍が翻訳されており、質の高い翻訳書を手に入れやすい環境にあります。例えば、ピアニストのネイガウスによる「ピアノ演奏芸術」や、ヨーゼフ・ガートの著作など、世界的に評価の高い名著を日本語で読むことができます。
► 実践方法
‣ 翻訳書選びのポイント
翻訳書を選ぶ際は、以下の点に注目するといいでしょう:
1. 著者の経歴と実績
・実際に演奏家として活躍している(いた)か
・教育者としての評価はどうか
・どのような弟子を育てたか
2. 自分のレベルとの適合性
・初心者向けか上級者向けか
・実践的な内容か理論的な内容か
・具体的な演奏法に関する記述があるか
3. 翻訳の質(初見でも判断可能なポイント)
・文章の読みやすさ
– 不自然な日本語や、直訳調の硬い表現が続いていないか
– 一文が長過ぎず、適度に区切られているか
– 専門用語の使い方に一貫性があるか
・補足情報の充実度
– 訳注や解説が適切に付されているか
– 原語の併記が必要な箇所にはされているか
– 日本の読者向けの補足説明があるか
・出版社の信頼性
– 音楽書籍の出版実績が豊富な出版社か
– 重版(増刷)されているか
– 版を重ねる過程で訳文の改善がなされているか
・読者の評価
– 音楽家や演奏家からの評価はどうか
– 書評や読者レビューでの評判はどうか
– 「翻訳が分かりにくい」という指摘が多くないか
・確認のための工夫
– 立ち読みや試し読みで、関心のある項目を実際に読んでみる
– 目次や索引が充実しているか確認する
– 図版や譜例の見やすさもチェックする
‣ 翻訳書を効果的に読むためのコツ
翻訳書を読む際によくある悩みが、「難しくて理解できない」というものです。これを克服するために、以下のような読み方をおすすめします:
1. 完璧を求め過ぎない
翻訳書を読む際の最大の落とし穴は、完璧主義になって全てを完璧に理解しようとすることです。特に音楽は抽象的な概念を言葉で説明することが多いため、一度で完全に理解することは困難です。
2. 文脈を重視する
個々の言葉や文に固執せず、前後の文脈から著者の意図を汲み取るよう心がけましょう。特に演奏法や表現に関する記述は、単独の文章では理解しづらいことがあります。
3. 実践と結びつける
読んだ内容を実際のピアノ演奏と結びつけることで、理解が深まります。例えば、書かれている演奏法を実際に試してみる、表現の違いを確認してみるなどです。
4. メモを取りながら読む
理解できた部分を自分の言葉で書き留めておくと、後で振り返る際に役立ちます。また、疑問点も記録しておくと、後で指導者に質問したり、他の文献で確認したりする際の助けになります。
‣ おすすめの活用方法
1. 読み方の工夫
・10分でも15分でも、継続的に読む習慣をつける
・もしくは、一気にガバッと読んでしまう方が続く人もいる
・自分のタイプを把握する
・理解できない部分は、チェックをつけたうえでいったん保留にして先へ進む
・一定期間向き合っても「合わない」と思ったら、その書籍は手放してしまっても良い
2. 演奏練習と並行して読む
・現在練習している作品の作曲家や時代に関する書籍を読むと、演奏の参考になる
・今現在の取り組みに活かせていると実感できる方が、気持ちが続く
・技術的な内容は、実際に音を出しながら確認すると理解が深まる
3. 複数の文献を参照する
・同じテーマについて異なる著者の見解を比較することで、より深い理解が得られる
・初心者向けの本から徐々にレベルを上げていくのも効果的
► まとめ
翻訳書は、ピアノ学習において非常に重要な役割を果たします。最初は難しく感じるかもしれませんが、コツをつかめば必ず理解できるようになります。
本Webメディアでは「レベル別:ピアノ独学者のための学習参考書籍ライブラリー」という記事で、おすすめの翻訳書を紹介しています。そちらも参考にしながら、自身に合った翻訳書を見つけてください。
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