【ピアノ】演奏における手の交差のコツと注意点
► はじめに
ピアノ演奏において、「手の交差」は技術的な課題であるとともに、音楽表現の繊細な瞬間です。
本記事では、音楽の質を保ちながら繊細な交差演奏を実現するコツを解説します。
► 意識すべき3つのポイント
‣ 1. もう片方の手で演奏している音楽の質を保つ
手を交差させる瞬間、それに気を取られ過ぎずにもう片方の手で演奏している音楽の質を保つことが重要です。
例えば、ブルグミュラーの「25の練習曲 Op.100 第24曲 つばめ」の冒頭部分は、まさにこの技術が試される代表的な箇所と言えるでしょう。
演奏姿を見ていなければ交差していると分からないくらいスムーズな演奏をするためには、もう片方の手の安定性が必要です。
‣ 2. 交差した手で演奏する音の音色に注意
交差した手での打鍵は、音色を乱す危険性があります。なぜかというと、余裕がなく忙しく打鍵しなければいけないことが多いからです。
特にフォルテのパッセージでは、打鍵のためのポジション準備を十分に練習し、できる限り「鍵盤の近く」から打鍵することで、音の散らばりを防ぐことができます。
‣ 3. 交差跳躍は原則ワンアクションで
図(Finaleで作成)
・しなった弓のような形になっている①が一番理想的な動き
・原則、②や③のような直角的な動きは避ける
しなりの角度は跳躍の内容によって少し変わります。直角的な動きは、特に入門~初中級くらいまでの学習者にはよく見受けられます。
これを見ると分かるように、①ではワンアクションで移動します。②はツーアクション、③はスリーアクション。手の移動では、できる限り動きを減らしたほうが効率的だと踏まえておきましょう。最短距離でいこうとすれば、自然と最適なワンアクションになります。
跳躍後、すぐに打鍵する場合は当然①の動きが最適ですし、跳躍後にポジションの準備をしてから打鍵する場合も、②ではなく、基本的に手の動き自体は①にしてください。
► 技術的なヒント
・交差前後のポジショニングを意識する
・交差演奏は視覚的要素にも大きく影響するので、滑らかなワンアクションの動作を心がける
・音楽の流れを常に意識し、交差中にもう片方の手で演奏している内容にも注意する
► 終わりに
手の交差は、技術的な課題であるとともに、音楽表現の一部です。練習を重ねることで、この瞬間を音楽的な美しさに変える力が身につくはずです。
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