【ピアノ】書籍解説 : ヘルマン・ケラーによるJ.S.バッハ解説の代表書籍2冊

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本記事では、

ヘルマン・ケラーによるJ.S.バッハ解説の代表書籍として挙げられる

以下の2冊について

解説しています。

 

「バッハのクラヴィーア作品」
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社
「バッハの平均律クラヴィーア曲集」
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

 

ヘルマン・ケラーとは

 

ヘルマン・ケラー(1885-1967)は

オルガニストとしての活動、音楽学校での教育活動などとあわせて、

バッハのクラヴィーアやオルガンの作品、バッハのテンポや和声、

通奏低音奏法、コラールの即興演奏、オルガン演奏

についての重要な論文を発表しています。

J.S.バッハ研究の第一人者として知られ、

来日して日本の音大でのマスタークラス指導の経験もある音楽家です。

 

ケンプヘルマン・ケラーからレッスンを受けているところを直に見たという

ベテラン音楽家の知り合いがいるのですが、

あのケンプが相当怒られていたとのこと。

ヘルマン・ケラーの音楽への情熱と厳しさを感じるひとときだったそうです。

 

「バッハのクラヴィーア作品」 著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社

 

全395ページ、原著は1950年でその全訳書籍。

 

第1部では約60ページほどを使い、

バロック全般やJ.S.バッハのクラヴィーア作品についての

歴史的な内容も含めた概論や、

デュナーミク、テンポ、フレージング、アーティキュレーション、装飾法

などの演奏法について

おおづかみに解説されています。

その後、J.S.バッハの生きた時系列で楽曲の解説へ。

 

ヘルマン・ケラーは

フレージングとアーティキュレーションに関する書籍も出しており、

楽曲解説へ入っていく前の項目に関しても

研究し尽くされています。

 

楽曲解説部分では

書籍のタイトル通り

J.S.バッハのクラヴィーア作品全般について幅広く解説されており、

何作品かの楽曲を除いたほとんどの楽曲解説では

ヘルマン・ケラーの考えによる演奏推奨テンポが書かれています。

他の著者による別の解説本とテンポに開きのある作品も多く

彼のカラーが見えて興味深いところ。

 

書籍全体としては、

解釈本や分析本というよりは

「J.S.バッハのクラヴィーア作品を演奏するにあたって知っておくべきことをまとめた教科書」

という印象。

楽曲解説もされてはいますが

1曲1曲に関しての解説量は多くありません。

個々の1曲に関してほんとうに深く勉強するために使う類の書籍ではなく、

J.S.バッハのクラヴィーア作品について

その周辺知識や根本的な演奏法の基礎なども

捉え直しながら学んでいくタイプの書籍です。

その観点から言えば、

必要な情報と信頼性がそろった最高の1冊となっています。

 

「何となくで弾くJ.S.バッハ」

を脱するためにも

必ず一読してみてください。

 

◉ バッハのクラヴィーア作品
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 

「バッハの平均律クラヴィーア曲集」 著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

 

全238ページ、原著は1965年でその全訳書籍。

 

序論では約40ページほどを使い、

平均律クラヴィーア曲集における歴史的な内容も含めた概論や

フーガ技法そのものの解説、

そしてやはり、1冊目に解説した書籍のように

テンポ、デュナーミク、フレージングとアーティキュレーション、装飾法

などの演奏法について

おおづかみに解説されています。

その後、第1巻および第2巻の各楽曲の解説へ。

 

前掲書籍「バッハのクラヴィーア作品」でも

平均律クラヴィーア曲集の解説はされていますが、

約15年後の著作ということもあり

同じ作品に対しても

別の文章を使って解説されています。

1曲あたりに関する記述内容は

こちらの書籍のほうがより豊富。

 

バッハの平均律クラヴィーア曲集
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

ヘルマン・ケラーによるJ.S.バッハ解説の代表書籍として挙げられる

2冊の紹介をしましたが、

どちらの書籍も訳が非常に読みやすいので

その辺りは心配せずに手にとってOK。

 

実際の使い方としては、

どちらの書籍も

まずは具体的な楽曲解説へ入っていくよりも前の部分を

きちんと読んで理解することが

書籍構成の特徴も活かせる学習方法です。

そして何よりも

「何となくで弾くJ.S.バッハ」

を脱するため必要なのは

この部分を徹底的に学習するかどうかであると言えるでしょう。

 

本記事中でも少し触れましたが、

ヘルマン・ケラーにはフレージングとアーティキュレーションに関する重要な著作もあって

日本語訳されており、

やはりバロック〜古典派の時代に力を入れて解説されています。

その書籍を加えた計3冊は学習者必携です。

 

◉ バッハのクラヴィーア作品
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 東川 清一、中西 和枝 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

バッハの平均律クラヴィーア曲集
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 竹内 孝治、殿垣内 知子 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

◉ フレージングとアーティキュレーション―生きた演奏のための基礎文法
著 : ヘルマン・ケラー  訳 : 植村耕三、福田達夫 / 音楽之友社

 

 

 

 

 

 


 

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