【ピアノ】同じ曲の長期練習のメリット・デメリットと具体的な対策法
► はじめに
ピアノ学習において、多くの方が直面する悩みがあります。「同じ曲を長期間練習し続けることは、本当に効果的なのだろうか?」という問いです。
特に中級以降の学習者の間でよく話題とされるこの話題について、今回は実践的な観点から考えていきましょう。
► 同じ曲の長期練習について
‣ 現状と課題
コンクール準備などで「同じ曲、特に大曲を1年以上継続して練習する」というケースをよく見かけます。特に音大生に多いこの傾向には、以下のような課題があります:
・レパートリーの限定
・音楽的視野の狭まり
・技術的な偏り
‣ 専門家の見解
この問題について、著名なピアニストたちは興味深い見解を示しています:
・川上昌裕氏:「学生時代にショパンのピアノ曲全曲を譜読みしたことが自信になった(執筆書籍より)」
・中村紘子氏:「短い期間でとにかくたくさんの楽曲に触れることで力がつく(TV番組での発言より)」
これらの意見は、幅広い音楽体験の重要性を意味しています。
► 効果的な練習アプローチ
‣ 学習内容の組み立て方
では、具体的にどのように学習内容を組み立てればいいのでしょうか。
ポイントは、「何も譜読みをしていない時期をゼロにする」ことです。以下、中〜上級者向けに一つの例を提案しておきます。自身の学習進度・学習環境などにしたがって、曲数や時間配分を調整してください。
1. メイン曲の設定
・現在の重点課題となる1-2曲を選定
・深い音楽的理解と技術的完成度を追求
・練習時間の50-60%を充てる
2. サブ曲の並行練習
・2-3曲の中規模な作品を同時進行
・新しい技術要素の習得
・練習時間の30%程度を配分
3. 譜読みプログラム
・一曲でもいいので、常に新曲の譜読み
・毎回、様々な様式や時代の作品を選択
・練習時間の10-20%を使用
‣ 譜読み力を効果的に高める方法
1. 毎日の譜読み時間の確保
・「朝の30分」「毎日の練習始めの30分」など、決まった時間を設定
・できる限り、集中力の高い時間帯を選択
2. 系統的なアプローチ
・同じ作曲家の作品をシリーズで読む / 期間ごとにテーマ作曲家を決めるのもおすすめ
・時代別に作品を選んで読む / 同一の時代の中の多様さを学ぶ
・難易度を段階的に上げていく / 快適なコンフォートゾーンを抜け出す
3. 読譜の質を高める工夫
・譜読み前に簡単なアナリーゼをしておく
・譜読みも一種の訓練なので、とにかくたくさん読む
‣ 練習の質を保つポイント
・各曲の練習に明確な目標を設定し、それを常に意識しながら学習
・録音を活用した客観的な評価 / 時には「譜読み」ですら録音して、その内容を客観的にチェック
・学習内容・方針の定期的な見直しと調整
‣ 期待される効果
上記のような、幅広い音楽体験を重視した学習により:
・譜読みスピードの向上
・様々な様式への理解深化
・音楽的視野の拡大
が期待できます。加えて、知っている楽曲が圧倒的に増える利点もあります。
► まとめ:実践のためのアクションプラン
1. 現在の学習内容を見直す
2. 幅広い音楽体験を重視した曲目構成を計画
3. 毎日の譜読み時間を確保(死守!)
4. 定期的な進捗確認と調整
大切なのは、「深く掘り下げる」と「幅広く触れる」のバランスです。じっくりと取り組む作品があることは重要ですが、同時に新しい曲を積極的に譜読みしていくことで、四畳半にならない学習を目指すことができます。とにかく、「何も譜読みをしていない時期をゼロにする」くらいのつもりで、毎日の学習に新たな楽曲を取り入れましょう。
本記事で提案した方法を参考に、自身の練習プランを見直してみてください。
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