【ピアノ】シューマン「アルバムの綴り Op.124」おすすめ楽曲 5選:初中級者向け

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【ピアノ】シューマン「アルバムの綴り Op.124」おすすめ楽曲 5選:初中級者向け

► はじめに

 

「アルバムの綴り(Albumblätter)Op.124」は、シューマンが1832年から1845年にかけて作曲した20の小品集です。この作品集の魅力は、技術的には手の届く範囲でありながら、シューマン特有の詩情豊かな表現を学べる点にあります。

本記事では、ブルグミュラー25の練習曲を修了した程度の技術で取り組める5曲を厳選し、各曲の特徴と演奏のポイントを解説します。中級へのステップアップを目指すピアノ学習者に、特におすすめの内容です。

 

► 厳選した小品

 

選曲基準

以下の観点から選曲しました:

1. 技術レベル:ブルグミュラー25の練習曲修了程度で演奏可能
2. 学習効果:シューマンの様式感を学べる作品
3. 実用性:演奏発表会などの本番で活用できる作品

 

‣ ワルツ Op.124-4

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

ワルツ Op.124-4の冒頭部分の楽譜

演奏時間:約1分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲中盤程度

 

作品概要

「アルバムの綴り Op.124」の中ではよく演奏される一作です。上下の音域幅の大きい運動的なメロディが、左手のワルツのリズムに支えられており、舞曲特有のアクセント表現が印象的です。

 

表現や技術的なポイント:

・アクセント記号やダイナミクスの松葉が比較的多くついているので、正確に表現する
・19-20小節や27-28小節のように伴奏部分にウタが隠れている箇所を表現する
・メロディの断片的なフレーズの背後にある大きなフレーズを意識する

 

‣ 幻想的舞曲 Op.124-5

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

幻想的舞曲 Op.124-5の冒頭部分の楽譜

演奏時間:約50秒
難易度:ブルグミュラー25の練習曲修了程度

 

作品概要

わずか24小節の短い作品ですが、無窮動的な16分音符の流れが印象的です。終始技巧的であり、「アルバムの綴り Op.124」の中ではやや異質の作品と言えるでしょう。

 

表現や技術的なポイント:

・この種の無窮動作品は、テンポをできる限り上げて弾いたほうが音楽的に聴こえる
・原則、不要な rit. やタメなどはせず、ノンストップで弾き切る
・5小節目以降、右手ばかりに気を取られずに左手のウタも大切に表現する

 

‣ 子守歌 Op.124-6

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

子守歌 Op.124-6の冒頭部分の楽譜

演奏時間:約2分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲中盤程度

 

作品概要

同じ Op.124 に収められた2つの子守歌のうち、より素朴で親しみやすい作品です。終始統一された分散和音伴奏による穏やかな揺れが、子守歌らしい雰囲気を作り出しています。

 

表現や技術的なポイント:

・メロディーとそれ以外の音を明確に区別し、立体的な響きを作る
・終始出てくるメロディと左手の音とのハモリのバランスに注意する
・1小節が2つに分断されないように、横の流れを意識する

 

‣ レントラー Op.124-7

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

レントラー Op.124-7の冒頭部分の楽譜

演奏時間:約1分
難易度:ブルグミュラー25の練習曲中盤程度

 

作品概要

「アルバムの綴り Op.124」の中では比較的マイナーな作品ではありますが、シンコペーションや連続した装飾音の扱い方など、シューマンの他の作品にも見られる特徴が使われている作品です。

 

表現や技術的なポイント:

・書かれているアクセントの位置をきちんと表現し、音楽的構造を伝える
・曲尾の装飾音の連続は極めて軽く、直前のレガートの部分と対比を明確に
・似た2種の表現「前半のアルペッジョ部分」「曲尾の装飾音部分」の違いを意識する

 

‣ 子守歌 Op.124-16

 

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、曲頭)

子守歌 Op.124-16の冒頭部分の楽譜

演奏時間:約3分30秒
難易度:ブルグミュラー25の練習曲修了程度

 

作品概要

「アルバムの綴り Op.124」の中で最も有名で親しまれている作品です。シンプルで美しいメロディが、16分音符を交えた揺りかごのような伴奏の上で歌われます。

 

表現や技術的なポイント:

・伴奏部分の16分音符が重くならないように
・伴奏部分は表情を過度につけるよりは、ゆりかごのように淡々とシンプルに演奏する
・穏やかな曲想ではあるが、テンポがAllegrettoであることを忘れずに

 

► 作品比較表

 

曲名 演奏時間 テンポ 重点練習ポイント
ワルツ Op.124-4 約1分 lebhaft(活き活きと) 舞曲のリズム感、アクセント
幻想的舞曲 Op.124-5 約50秒 Sehr rasch(非常に速く) 無窮動の流れ、一定テンポ
子守歌 Op.124-6 約2分 Nicht schnell(速くなく) メロディと伴奏のバランス
レントラー Op.124-7 約1分 Sehr mässig(中庸の速さで) アクセント表現、装飾音の軽やかさ
子守歌 Op.124-16 約3分30秒 Allegretto(やや速く) 伴奏部分のゆりかごのような表現

 

► 推奨楽譜

 

推奨楽譜

「アルバムの綴り Op.124」は上級段階になってからも演奏できる優れた作品です。したがって、原典版を使って学習するといいでしょう。

 

・シューマン アルバムの綴り Op.124 Herttrich編 Lampe運指 ヘンレ版

 

 

 

 

 

 

► 学習方法の提案

 

易しい作品から取り組みたい場合

・ワルツ Op.124-4
・子守歌 Op.124-6

組み合わせて演奏発表会で弾きたい場合

・幻想的舞曲 Op.124-5(急速な楽曲)
・子守歌 Op.124-16(最も知られている楽曲)

シューマンの色が強く出ている作品に取り組みたい場合:

・幻想的舞曲 Op.124-5
・レントラー Op.124-7

 

► 終わりに

 

シューマンの「アルバムの綴り Op.124」は、技術的に無理なく取り組めながら、シューマンの音楽性を学べる貴重な作品集です。

同じく初中級段階の学習で使われる、シューマンの「ユーゲントアルバム(子どものためのアルバム)Op.68」と併せて、初中級から中級への橋渡しとして取り組んでみましょう。

 


 

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