【ピアノ】譜読みにおける正確な音価把握の重要性:「エリーゼのために」を例に

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【ピアノ】譜読みにおける正確な音価把握の重要性:「エリーゼのために」を例に

► はじめに

 

ピアノ演奏において、音価(音の長さ)を正確に理解し表現することは、作品の本質を伝えるうえで非常に重要です。本記事では、多くの方になじみ深い「エリーゼのために」を例に、音価に注目すべきポイントを紹介します。

 

► 重要なチェックポイント

‣ 1. 基本メロディにおける音価の違い

 

ベートーヴェン「エリーゼのために」

譜例(PD楽曲、Sibeliusで作成、1-12小節)

冒頭部分では、8分音符と16分休符の組み合わせが特徴的です。しかし、同じように見える音型でも、9小節目以降では付点8分音符に変化します。この微妙な違いは、曲の表情に大きな影響を与えます。

 

実践のポイント:

・ダンパーペダルを使用していても、正確な音価を意識する
・休符を大切にし、鍵盤から指を適切なタイミングで上げる
・似たフレーズでも、音価が異なる場合があることを認識する

ダンパーペダルを使用しているので、結局音は伸びるわけです。しかし、手で16分休符を表現することで、鍵盤を下げっぱなしにしているのとは視覚的にも差があります。演奏者は視覚的にも音楽を聴くことを忘れないようにしましょう。

 

その他の注意点:

・8小節目のレッド音符は4分音符
・12小節目のレッド音符は8分音符

 

‣ 2. 並んでいる似た小節における音価変化

 

譜例2(71-76小節)

75-76小節にかけての部分では、4分音符と8分音符の使い分けが見られます。

演奏のヒント:

・音価を正確に読む
・特に76小節目では、音が切れた後の空気感も音楽の一部として捉える
・76小節目では、余韻も含めて8分音符の長さになるように滑らかにペダルと手を上げる
・両小節は似ているので、思い込みでどちらも同じ長さにしてしまわないように注意する

 

‣ 3. 終結部における音価の解釈

 

譜例3(98-103小節)

最終小節の音は8分音符と指定されています。フェルマータがついているかのように長く延ばす演奏が聴かれますが、少なくとも原典版の意図とは異なります。楽曲の最後に少しテンポをゆるめる解釈をするはずなので、テンポが引き延ばされたことによる延長がつくことになります。その長さが延ばす限界値だと考えておいてください。

「8分音符+8分休符」で物言いたげに終わるのが、この楽曲の美しい終わり方と言えるでしょう。

 

► まとめ

 

音価を正確に理解し表現することは、作曲家の意図を尊重し、作品本来の魅力を引き出すことにつながります。特に:

・似たフレーズでも異なる音価が使われている可能性に注意を払う
・ペダル使用時も、手による音の切り方を意識する
・休符や余韻も音楽表現の重要な要素として扱う

これらの点に注意を払いながら練習することで、より深い音楽表現が可能になるでしょう。

 

関連内容として、以下の記事も参考にしてください。

【ピアノ】譜読みの最大の敵は「思い込み」

 


 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

ピアノ音楽(ピアノソロ、ピアノが編成に入った室内楽 など)に心惹かれ、早何十年。
ピアノ音楽の作曲・編曲が専門。
物書きとしては楽譜だけでなく文章も書いており、
音楽雑誌やサイトなどでピアノ関連の文筆を手がけています。
Webメディア「大人のための独学用Webピアノ教室」の運営もしています。
受賞歴として、第88回日本音楽コンクール 作曲部門 入賞 他。

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