【ピアノ】「ピアノ音楽事典 作品篇」レビュー
► はじめに
「ピアノ音楽事典 作品篇」は、日頃のピアノ学習に役立つ「実践寄り(楽曲分析や演奏ヒントを含む)」のピアノ音楽事典です。本記事では、その特徴や使用上の注意点などを解説していきます。
・出版社:全音楽譜出版社
・初版:1982年
・ページ数:839ページ
・編集顧問:井口基成、野村光一、安川加寿子
・対象レベル:初級~上級者
・ピアノ音楽事典 作品篇 / 全音楽譜出版社
► 内容について
‣ 本書の特徴
質の高い選曲基準
収載楽曲数は約850曲で、「ソロ作品」かつ「オリジナル作品」を原則として選曲しており、編曲作品については重要なレパートリーのみを例外的に収録しています。この厳格な選曲基準により、ピアノ学習者にとって必要な核となる楽曲に絞り込まれた内容となっています。
実践的で詳細な解説
多くの楽曲事典との最大の差別化ポイントは、主要作品に限っては楽曲分析から演奏ヒントまで踏み込んだ解説が提供されていることです。以下の要素が含まれています:
・楽曲分析
・作曲背景・経緯
・演奏上のアドバイス
分担執筆による専門性
各分野の研究者、演奏家、教育者による分担執筆形式を採用することで、単一著者では到達できない専門性と広範囲性を両立しています。ただし、この方式による特徴として、作品によって分析視点重視、演奏視点重視といったアプローチのばらつきが見られます。
‣ 内容の実用性
目次の使いやすさ
目次が全体を見渡せる作品表としても機能しており、検索性と一覧性を兼ね備えた構成になっています。この工夫により、目的の楽曲を素早く見つけることができます。
解説の充実度
同系統の書籍と比較して、一曲あたりの解説量が多いのが特徴です。特に主要作品については、表面的な情報に留まらず、楽曲分析から演奏ヒントなどの学習に役立つ具体的な情報が含まれています。
► 使用上の注意点
本書は網羅的な楽曲事典ではないため、以下の用途には向きません:
・包括的な作品リサーチ
・マイナーな楽曲の調査
・編曲作品の広範囲な検索
► 終わりに
「ピアノ音楽事典 作品篇」は、学習者の深い理解をサポートする実践的な事典です。ただし、網羅性よりも深度を重視した構成であることを理解したうえで活用することが重要です。
姉妹書である「ピアノ音楽事典 演奏篇」と併用することで、より包括的なピアノ学習のサポートが期待できます。レビューは以下の記事で紹介しています。
・ピアノ音楽事典 作品篇 / 全音楽譜出版社
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